「きつ音」における修学時の合理的配慮に関する全国大学への初調査~言語聴覚士の意見書でも根拠資料となることを周知する必要性~

ad

2025-06-27 九州大学

2023〜2024年度に全国145大学を対象とした調査で、「きつ音(吃音)」のある大学生への合理的配慮を受けた学生は、2023年度47名、2022年度25名と増加傾向にあることが判明。配慮内容は教員への周知、発表形式の変更、出席返答、実習時の配慮など。根拠資料には医師の診断書が最多だが、障害者手帳、言語聴覚士の意見書、高校の支援引継ぎも採用。2024年から合理的配慮が大学に義務化されたため、意見書の有効性の周知が今後の課題。

「きつ音」における修学時の合理的配慮に関する全国大学への初調査~言語聴覚士の意見書でも根拠資料となることを周知する必要性~

<関連情報>

大学における吃音症に対する合理的配慮の実態調査

山口優実,菊池良和,佐藤あおい,岡部健一 吉田恵理子,安井美鈴,飯村大智,伊神敬人,園田一博,小野寺宰,坂崎弘幸,矢野亜紀子,小林宏明,中川尚志
吃音・流暢性障害学研究  公開日:2025年6月27日

要旨:

吃音は,2016 年に施行された「障害者差別解消法」の対象となる障害であり,大学では吃音のある学生に対して合理的な配慮を行うようになっている。吃音に対して支援を開始する方法として合理的配慮を受けるための根拠資料の作成は,医師以外でも可能な情報は広まっていない可能性があった。そこで,大学が行ってきた吃音学生に対する合理的配慮の実態を調査した。調査対象は日本全国の大学 751 校で,2024 年 1 月から 3 月の間に実施され,回収率は 19.3%(145 校)であった。2023 年度に合理的配慮を受けた吃音の学生は 47 名,2022 年度は 25 名であった。合理的配慮の内容は,教員への吃音の周知,発表形式の変更,出席返答,外部の実習への配慮などであった。合理的配慮の根拠資料として医師の診断書が最多であったが,言語聴覚士など外部の専門家の意見書も採用されていた。改正障害者差別解消法の施行に伴い,2024 年 4 月から私立大学も含め全大学等で合理的配慮が義務となるために,修学に困難となる吃音学生に広がる支援方法となるだろう。

教育
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました