家庭内のホコリからクルミアレルゲンの存在が明らかに ~クルミアレルギーの子どもの寝具に多く、クルミアレルギー増加に関与の可能性を示す~

ad

2023-07-13 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)のアレルギーセンター大矢幸弘センター長、安戸裕貴医師、山本貴和子医師らと、株式会社ダスキン(所在地:大阪府吹田市、社長:大久保 裕行)の開発研究所は、家庭内のホコリ中に含まれるクルミアレルゲンに関する共同研究を行いました。
同センターに来院した子どもなどの45 家庭を対象とした調査により、家庭内における環境アレルゲンとしてのクルミアレルゲンの存在が明らかになりました。また、家庭内におけるクルミの消費量が多い場合、ホコリ中のクルミタンパク量も多くなる傾向があること、さらに、クルミの主要アレルゲンであるJug r 1 に対して感作している(特異的IgE抗体がある)1子どもの寝具のホコリ中からは、より多くのクルミアレルゲンが認められることがわかりました。
本研究結果は近年日本で急増しているクルミアレルギーに対する重要な知見となります。
この論文は、国際雑誌 「Allergology International」に掲載されました。
注意:本研究は、あくまでも家庭内のホコリ中にクルミアレルゲンが存在することを示すもので、生活環境にあるホコリの中の
クルミアレルゲンとクルミアレルギー発症の因果関係を示すものではありません。
1アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン(抗原)」といい、私たちの⾝のまわりには、⾷物、花粉、ダニなど多くのアレルゲンが存在します。 感作とは、このアレルゲンが体の中に⼊ると異物とみなして排除しようとする免疫機能がはたらき、「IgE 抗体」という物質が作られるようになる状態をいいます。

図1:研究結果のまとめ

【図1:研究結果のまとめ】

プレスリリースのポイント

  • 解析対象の約1/3の家庭(リビングルームのホコリ:13家庭、子どものベッドの上のホコリ:14家庭)において、クルミアレルゲンを検出しました。
  • 家庭内におけるクルミの週間消費量が4g以上の家庭では、4g未満の家庭と比較して、ホコリ中のクルミアレルゲンの量が多く認められました。
  • クルミの主要アレルゲンであるJug r 1に対する感作が陽性であった子どものベッド上のホコリ中からは、クルミアレルゲン量を多く認めました。(クルミアレルゲン200ug/g以上の検出がJug r 1感作陰性家庭は0%(検討対象9家庭)に対し、Jug r 1感作陽性家庭は50%(検討対象6家庭)。)
発表論文情報

英題:Association of walnut proteins in household dust with household walnut
consumption and Jug r 1 sensitization
執筆者:
安戸裕貴1), 2)、山本貴和子1)、御厨真幸3)、荻野文敏3)、福家辰樹1)、大矢幸弘1)
所属:
1) 国立成育医療研究センターアレルギーセンター
2) 杏林大学医学部臨床検査医学教室
3) 株式会社ダスキン 訪販グループ戦略本部 開発研究所 基礎研究室
掲載誌:Allergology International
掲載日:2023年6月29日
DOI: https://doi.org/10.1016/j.alit.2023.06.003

本件に関する取材連絡先
国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

ad

医療・健康
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました