蛍光センサーIPADを新開発 ~神経細胞の「自己認識」を世界で初めて可視化~

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2023-07-18 大阪大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 神経細胞の自己認識・非自己識別に関わる細胞接着たんぱく質であるクラスター型プロトカドヘリンの相互作用を可視化する蛍光センサーIPADを開発。
  • 同一神経細胞に由来する神経突起間におけるクラスター型プロトカドヘリンの相互作用を世界で初めて可視化。
  • 神経細胞におけるクラスター型プロトカドヘリン相互作用の生物学的意義の解明につながる技術的前進。
  • 自閉症やてんかんなどの脳疾患で見られる、自己神経結合を可視化するセンサー開発につながる可能性。

大阪大学 産業科学研究所 生体分子機能科学研究分野の京 卓志 特任研究員(常勤)(JST さきがけ専任研究者)、永井 健治 教授、松田 知己 准教授の研究グループは、同 生命機能研究科 心生物学研究室の星野 七海 特任研究員(研究当時。現在Tulane大学 研究員)、八木 健 教授の研究グループとの共同研究により、神経細胞の自己認識・非自己識別に関わる細胞接着たんぱく質であるクラスター型プロトカドヘリン(Pcdh)の相互作用をイメージングするための蛍光センサー「IPAD」を開発しました。これまで、細胞間相互作用や細胞間における細胞接着たんぱく質の相互作用は可視化されてきましたが、細胞の自己認識に関わるような、同一細胞から伸びた突起間の相互作用は可視化されていませんでした。

研究グループは、Pcdhのアイソフォームの1つであるPcdhα4を標的とし、その分子内にたんぱく質間の可逆的な結合解離のイメージングが可能なddGFPという特別な2つの蛍光たんぱく質のペアを挿入することで、世界で初めて同一神経細胞に由来する神経突起間における、Pcdhα4間相互作用の可視化に成功しました。この研究成果は、神経細胞におけるPcdh相互作用の生物学的意義に迫るための技術的な大きな一歩であるとともに、自閉症やてんかんなどの脳疾患に見られる自己神経結合を検出するための蛍光センサー開発を発展させる基盤となることが期待されます。

本研究成果は、米国科学誌「iScience」に、7月18日(火)(日本時間)に公開されます。

本研究は、JST 戦略的研究推進事業さきがけ「多細胞システムにおける細胞間相互作用とそのダイナミクス(JPMJPR2045)」、同 CREST「細胞内現象の時空間ダイナミクス(JPMJCR20E4)」の助成を受けたものです。

<プレスリリース資料>
<論文タイトル>
“Visualization of trans-interactions of a protocadherin-αbetween processes originating from single neurons”
DOI:10.1016/j.isci.2023.107238
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
京 卓志(カナドメ タカシ)
大阪大学 産業科学研究所 特任研究員(常勤)

<JST事業に関すること>
保田 睦子(ヤスダ ムツコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ

<報道担当>
大阪大学 産業科学研究所 広報室
科学技術振興機構 広報課

有機化学・薬学
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