化学遺伝学ツールDREADDの小型化に成功~「一度で二度おいしい」神経活動操作新技術の開発へ~

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2024-10-22 京都大学

三宅崇仁 薬学研究科助教、田中香帆 薬学部学生、井上汐月 薬学研究科修士課程学生(研究当時)、土居雅夫 同教授の研究グループは、化学遺伝学ツールDREADDの小型化に成功しました。

今日の神経科学分野では、脳にある特定の神経細胞の活動を人の手で外から操ることによって、脳のどの神経細胞がどのような生命現象に責任を果たすのかを明らかにしようとしています。神経細胞の活動を操作するためには、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて、脳に神経活動操作用の分子ツールを入れ込む必要があります。しかし、AAVはとても小さいウイルスであるため、積み込むことのできる分子ツールのサイズ容量が小さいという弱点がありました。そのため、1つひとつの神経細胞の機能を真に明らかにするにも、AAVには興奮または抑制どちらか専用の分子ツール1つしか積み込むことができず、同一の神経細胞を興奮または抑制して機能を調べるといった研究は、原理的に不可能でした。

本研究では、分子ツールのひとつDREADDについて、従来使われていたツールの小型化(30%以上のサイズ縮小)を行いました。小型化した興奮用DREADDを既存の抑制用DREADDとともに1つのAAVに組み込むことにより、マウス脳内での同一神経細胞の人為的な興奮または抑制を実現しました。開発した小型DREADDは、カニクイザルでも使用可能であることから、今後の神経科学分野の発展に大きく貢献することが期待されます。

本研究成果は、2024年10月21日に、国際学術誌「Cell Reports Methods」にオンライン掲載されました。

化学遺伝学ツールDREADDの小型化に成功~「一度で二度おいしい」神経活動操作新技術の開発へ~
mini DREADDsの概要とその利点を生かした神経科学への応用

研究者のコメント

「miniDq・miniDiおよびminiDq /KORD発現プラスミドは、理研バイオリソースセンター(RDB No. 20117–20119)およびAddgene(Plasmid #204357–204359)に登録してあります。今後私たちの発明が、国内外問わず、多くの研究者の研究において有用な選択肢となることを切に願っております。」

詳しい研究内容について

化学遺伝学ツールDREADDの小型化に成功―「一度で二度おいしい」神経活動操作新技術の開発へ―

研究者情報

研究者名:三宅 崇仁
研究者名:土居 雅夫

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.crmeth.2024.100881

【書誌情報】
Takahito Miyake,Kaho Tanaka, Yutsuki Inoue,Yuji Nagai, Reo Nishimura, Takehito Seta, Shumpei Nakagawa, Ken-ichi Inoue, Emi Hasegawa, Takafumi Minamimoto, and Masao Doi (2024). Size-reduced DREADD derivatives for AAV-assisted multimodal chemogenetic control of neuronal activity and behavior. Cell Reports Methods, 4, 10, 100881.

細胞遺伝子工学
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