がん治療薬をより安定して投与する新型錠剤を開発(Startups’ tablets deliver cancer drugs more evenly over time)

MIT発スタートアップ「Enzian Pharmaceutics」は、がん治療薬をより安定して長時間にわたり放出できる新型経口錠剤を開発した。錠剤には3Dプリントによって形成された微細な繊維構造が組み込まれ、水分を吸収するとゲル状に膨張し、最大24時間胃内に留まりながら薬剤を一定速度で放出する。従来の経口抗がん薬は服用直後に高濃度が血中へ急速に流入し副作用を引き起こすが、この技術により血中濃度の急上昇を抑え、安定した治療効果が期待される。開発のきっかけはMITでの射出成形研究で、薬剤放出を制御する微細構造の重要性を発見したことにある。現在、健康被験者で胃内保持時間の検証を行っており、今後1年以内に前立腺がん治療薬を用いた臨床試験を開始予定。研究成果は薬剤製剤学・ドラッグデリバリー分野に新たな展望を開く。