世界初、バイオティクス成分HYA配合サプリメントを製品化

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食後血糖値の上昇抑制効果が期待される機能性脂肪酸を発見、量産に成功

2021-01-19 新エネルギー・産業技術総合開発機構,Noster株式会社

NEDOの「平成25年度 イノベーション実用化ベンチャー支援事業」および「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」において、日東薬品工業(株)は、植物油由来のリノール酸を腸内細菌が代謝することにより生成する機能性脂肪酸HYA®を発見、食後血糖値の上昇を抑制する効果があることを見いだし、臨床試験によりその効果と安全性を確認するとともに、大量生産法を確立しました。2020年5月には、これらNEDO事業の成果をもとに日東薬品工業(株)の親会社である日東薬品工業ホールディングス(株)がHYA®の研究開発と製品開発・販売を行うNoster(株)を設立し、今般、Noster(株)はHYA®を配合したサプリメントを世界で初めて製品化し、「HYA®-50」として販売を開始しました。

サプリメント「HYA®-50」の画像

図1 サプリメント「HYA®-50」

1.概要

日本人の死因の約5割は糖尿病や心疾患などの生活習慣病であり、その原因の一つに肥満があります。実際にBMI※130以上の人を対象とする世界の肥満人口は7億1,200万人とされ、日本でもBMI25以上の人が3,000万人を超えるなど非常に大きな社会課題となっています。ただ、肥満に対する完全な治療法は確立されていないのが実情です。

この課題の解決を目指し、日東薬品工業株式会社はまず国立大学法人京都大学農学研究科の小川順教授、岸野重信准教授と共同研究を行い、腸内細菌による食事由来の脂質・脂肪酸の代謝経路を解明し、さらにはそれら代謝物(ポストバイオティクス®※2)の機能性を明らかにしました。日東薬品工業(株)はこの成果をもとに、2014年度に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「平成25年度 イノベーション実用化ベンチャー支援事業」で、さらに2015年度から2017年度には「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」において腸内細菌の脂質代謝により生成する新規機能性脂肪酸の実用化に向けた研究開発を実施し、この研究開発の成果として腸内細菌脂質代謝物の一つであるHYA®(10-ヒドロキシ-シス-12-オクタデセン酸)※3を発見、食後血糖値の上昇を抑制する効果があることを見いだしました。本成果により、HYA®の摂取が食後血糖値の改善や肥満の抑制につながることが期待されます。また臨床試験によってその効果と安全性を確認するとともに、当初は微量にしか作製できなかったHYA®を大量生産する手法の確立に成功しました。

2020年5月に日東薬品工業(株)の親会社である日東薬品工業ホールディングス株式会社が、これらNEDO事業の成果をもとに研究開発と製品開発・販売を行うNoster株式会社を設立しています。そして今般、Noster(株)はバイオティクス製品を販売する消費者向けブランド「CUMEC(the Cutting–edge Microbiome Care)」を立ち上げ、NEDO事業で開発したHYA®を50%配合したサプリメント「HYA®-50」の販売を開始しました。NEDO事業で、商用化に足る生産効率を達成するHYA®の大量生産法を確立したことで、「HYA®-50」の製品化を実現することができました。

「HYA®-50」は化学合成法ではなく、自然由来の植物油に高密度で乳酸菌を反応させることにより生産されます。このため生産時の環境負荷を低減でき、グリーンバイオプロダクト※4として、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも寄与します。また、科学雑誌Scienceを発行する米国科学振興協会(AAAS)にこれら研究成果が認められ、日本企業として初めて「NOSTER & Science Microbiome Prize※5」を共同設立するに至りました。Noster(株)はこれらの活動を通して、さらなるバイオ技術の発展に貢献します。

グリーンバイオプロダクトの概念図

図2 グリーンバイオプロダクトの概念図

【注釈】
※1 BMI
Body Mass Index(ボディ・マス指数)。肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められる。計算方法は世界共通だが、肥満の判定基準は国によって異なり、WHO(世界保健機関)の基準では30以上、日本肥満学会の定めた基準では25以上が「肥満」とされる。
※2 ポストバイオティクス®
乳酸菌やビフィズス菌などの有用微生物(プロバイオティクス) が産生する、 宿主(ひと)に有益な作用をもたらす代謝物のこと。2017年に日東薬品工業(株)が商標登録した(現在は、Noster(株)が商標権者)。
※3 HYA®
Noster(株)が、世界で初めて食品向けとして製造に成功した、腸内細菌による脂質代謝物。10-hydroxy-cis-12-octadecenoic acid。2014年に日東薬品工業(株)が商標登録した(現在は、Noster(株)が商標権者)。
※4 グリーンバイオプロダクト
植物由来の天然原料を微生物の酵素を用いて加工する、ひと・環境に優しい製品。
※5 NOSTER & Science Microbiome Prize
若手科学者をサポートし、腸内菌叢研究の発展に貢献することを目的に、日本企業では初めて、Noster(株)が科学雑誌Scienceを出版する米国科学振興会(AAAS)と共同で設立した、腸内菌叢研究に関する表彰制度。
2.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO イノベーション推進部 担当:岡田(隆)、伊吹、近藤
Noster株式会社 マネジメント室 担当:久

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:鈴木(美)、坂本

有機化学・薬学
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