2021-04-26 国立遺伝学研究所 鐘巻研究室・分子細胞工学研究室
Replication timing maintains the global epigenetic state in human cells
Kyle N Klein, Peiyao A Zhao, Xiaowen Lyu, Takayo Sasaki, Daniel A Bartlett, Amar M Singh, Ipek Tasan, Meng Zhang, Lotte P Watts, Shin-Ichiro Hiraga, Toyoaki Natsume, Xuemeng Zhou, Timour Baslan, Danny Leung, Masato T Kanemaki, Anne D Donaldson, Huimin Zhao, Stephen Dalton, Victor G Corces, David M Gilbert
Science 372, 371-378 (2021) DOI:10.1126/science.aba5545
細胞のゲノムDNAが複製される時には、複製される場所と時間に順番があることが知られており、これをDNA複製タイミングと呼びます。DNA複製タイミングは出芽酵母からヒト細胞まで知られている現象ですが、その生物学的な意味は長年不明なままでした。近年の研究から、RIF1は複製タイミング制御に重要な役割を担っており、これを失った細胞では複製タイミングがおかしくなることが知られています。本研究では、RIF1を失った細胞では、DNA複製に伴いエピジェネティック修飾を持つヒストンの娘染色体への分配が異常になり、エピゲノムの維持や染色体構造に変化をきたすことが明らかになりました。すなわち、DNA複製タイミングは、エピゲノムの維持や変化に重要な役割を担っていることが明らかになりました。
本研究において、鐘巻研究室はオーキシンデグロン法でRIF1を分解制御できる細胞株の樹立に協力しました。
図:DNA複製タイミングがエピゲノム維持に果たす役割のモデル図
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