人類が発見した、出産後の女性の骨に残る新たな変化(Anthropologists Find New Ways Female Bones Are Permanently Altered After Giving Birth)

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霊長類の分析から、出産・授乳後の骨組成に永久的な変化があることが判明 Analysis of Primates Shows Permanent Changes in Bone Composition After Giving Birth, Breastfeeding

2022-11-01 ニューヨーク大学 (NYU)

生殖は、これまで知られていなかった方法で、女性の骨を永久的に変化させることが、人類学者のチームによって明らかにされた。霊長類の分析に基づくこの発見は、出産がいかに身体を永久に変化させるかについて、新たな光を当てている。
今回の発見は、生殖が女性の生体に与える重大な影響を示す新たな証拠であり、骨格が静的な器官ではなく、人生のイベントに応じて変化する動的な器官であることをさらに示すものである。
具体的には、生殖を経験した女性では、カルシウム、マグネシウム、リンの濃度が低くなることを発見した。
更年期が女性の骨に影響を与えることは、長い間知られていたが、生殖などのライフサイクルの先行事象が、骨格構成にどのような影響を及ぼすかは、あまり明らかになっていない。そこで、研究チームは、成熟した骨格の主要な構成要素である一次層状骨(pliminary lamellar bone)を調べた。骨格は時間とともに変化し、その変化を示す生物学的マーカーが残るため、研究者は生涯を通じてその変化を観察することができるのである。
プエルトリコのサバナセカ野外実験場に生息し、自然死した雌と雄の霊長類の大腿骨にあるラメラ骨の成長速度が調べられた。同フィールドステーションの獣医は、これらの霊長類の健康状態や生殖に関する情報を記録しており、研究者たちは、骨組成の変化をライフイベントに正確に対応させることができたのである。
研究者たちは、組織サンプルの化学組成を測定するためによく用いられる電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析を用いて、霊長類の骨中のカルシウム、リン、酸素、マグネシウム、ナトリウムの濃度変化を算出した。
その結果、出産した雌は、出産しなかった雌と比較して、いくつかの元素の濃度に違いがあることがわかった。具体的には、出産したメスでは、生殖の際に形成される骨中のカルシウムとリンが少なくなっていた。さらに、これらの霊長類が乳児に母乳を与える間、マグネシウムの濃度が著しく低下していた。

<関連情報>

アカゲザルの雌雄における一次ラメラ骨の元素組成の違い Elemental composition of primary lamellar bone differs between parous and nulliparous rhesus macaque females

Paola Cerrito,Bin Hu,Justin Z. Goldstein,Rachel Kalisher,Shara E. Bailey,Timothy G. Bromage
PLOS ONE  Published: November 1, 2022
DOI:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0276866

人類が発見した、出産後の女性の骨に残る新たな変化(Anthropologists Find New Ways Female Bones Are Permanently Altered After Giving Birth)

Abstract

Extracting life history information from mineralized hard tissues of extant and extinct species is an ongoing challenge in evolutionary and conservation studies. Primary lamellar bone is a mineralized tissue with multidien periodicity that begins deposition prenatally and continues until adulthood albeit with concurrent resorption, thus maintaining a record spanning several years of an individual’s life. Here, we use field-emission scanning electron microscopy and energy-dispersive X-ray analysis to measure the relative concentrations of calcium, phosphorous, oxygen, magnesium and sodium in the femora of seven rhesus macaque with known medical and life-history information. We find that the concentration of these elements distinguishes parous from nulliparous females; that in females calcium and phosphorus are lower in bone formed during reproductive events; and that significant differences in relative magnesium concentration correlate with breastfeeding in infants.

医療・健康
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