2023-09-11 東京大学
東京大学医学部附属病院の藤原隆行特任助教、武田憲文特任講師(病院)、小室一成特任教授らの研究グループは、肺高血圧症のモデルマウスにおいて、肺高血圧症の進展過程に特徴的な肺内の血管新生を立体的に可視化することに成功しました。この血管新生は低酸素負荷誘発性肺高血圧(酸素濃度8-10%程度の環境下で生じる肺高血圧)に対して代償的な役割を担っているとともに、転写共役因子PGC-1αにより制御されており、PGC-1α活性化薬により肺高血圧症が改善することを明らかにしました。
肺高血圧症は肺血管が狭くなることを特徴とする若年発症の難治疾患であり、肺移植を必要とする重症な患者さんも少なくありません。本研究グループは、組織透明化技術および多光子励起顕微鏡を用いて複数のモデルマウスの肺血管を立体的に可視化・評価することにより、肺高血圧症における血管新生の意義について検討を行いました。肺高血圧症においては、血管内皮細胞増殖因子(Vascular endothelial growth factor:VEGF)の発現が増加していることが過去に報告されていますが、血管新生の意義については十分に解明されておらず、今回の結果を足がかりに血管疾患の病態解析や治療法の開発、肺高血圧症治療薬への応用が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「JCI Insight」(9月8日付:米国東部夏時間)に掲載されました。
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