クッシング病に対する新たな治療薬候補の発見

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2024-08-02 京都大学

伯田琢郎 医学部附属病院医員、山内一郎 医学研究科助教、稲垣暢也 同教授(現:田附興風会理事長)らの研究グループは、化合物スクリーニングからクッシング病に対する新たな治療薬候補を発見しました。

クッシング病は、ACTHというホルモンを産生する下垂体腫瘍により、刺激された副腎からステロイドホルモンが過剰に分泌され、様々な合併症を引き起こす疾患です。現在使用できる薬剤では腫瘍の増大を抑えたり、ACTHの産生を減らしたりすることが困難なことがあり、新たな治療薬が望まれていました。本研究グループはACTHを迅速かつ簡便に評価できる新しい測定系を開発し、これを用いた化合物スクリーニングを実施した結果、治療薬候補となる化合物を多数同定しました。特にその一つであるチオストレプトンに注目して解析を進め、細胞周期の制御を介して治療効果を示すことを明らかにしました。

今回の発見により、クッシング病に対する新たな治療薬としてチオストレプトンの開発が進むことに加え、スクリーニングで同定した他の候補化合物も治療薬につながることが期待されます。

本研究成果は、2024年7月26日に、国際学術誌「Endocrinology」にオンライン掲載されました。

クッシング病に対する新たな治療薬候補の発見
本研究の概要。クッシング病モデル細胞株AtT-20を用いて化合物スクリーニングを行い、候補化合物の中からチオストレプトンに注目し、治療効果の実証と作用機序の解明を行った。

研究者のコメント

「臨床の現場でクッシング病の診療にあたった際に、現在の治療法では限界があり、その問題を解決したいという思いから研究に着手しました。実験を進める中では、思うような結果が得られず苦しい時期もありましたが、化合物スクリーニングを経て、当初は思いもよらなかった薬剤に注目し、成果を生むことができました。クッシング病の治療の発展に向けて、さらなる研究に繋げたいと考えています。」(伯田琢郎)

詳しい研究内容について

クッシング病に対する新たな治療薬候補の発見

研究者情報

研究者名:山内 一郎
研究者名:稲垣 暢也

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1210/endocr/bqae089

【書誌情報】
Takuro Hakata, Ichiro Yamauchi, Daisuke Kosugi, Taku Sugawa, Haruka Fujita, Kentaro Okamoto, Yohei Ueda, Toshihito Fujii, Daisuke Taura, Nobuya Inagaki (2024). High-throughput Screening for Cushing Disease: Therapeutic Potential of Thiostrepton via Cell Cycle Regulation. Endocrinology, 165, 9, bqae089.

有機化学・薬学
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