東京大学

医療・健康

犬の膀胱がんに対する新しい分子標的療法の確立

膀胱がんを発症した犬において、HER2とEGFRを特異的に阻害するラパチニブという分子標的薬が有効な治療法となることを獣医師主導臨床試験により証明しました。尿に含まれるがん細胞を使ってHER2タンパク質の過剰発現とHER2遺伝子増幅の有無を調べることで、ラパチニブの治療効果を予測するバイオマーカーとなることを明らかにしました。
生物化学工学

オス性行動のモチベーションを調節する脳内のしくみ

脳内の同じニューロン が作る2つの神経ペプチド GnRH3とNPFFが両方ともオスの性行動のモチベーションを調節することを明らかにしました。不明であったNPFFの行動における機能を発見すると共に、両神経ペプチドがバランスよく脳内で作用することで性行動がうまく制御される脳内のしくみを明らかにしました
生物化学工学

蛍光タンパク質の蛍光強度を維持したまま組織・器官を透明化できる 動植物共通の透明化法開発に成功

動植物共通の組織・器官透明化法iTOMEIの開発に成功しました。従来の透明化方法の各ステップを綿密に見直し、改良を実施することで、蛍光タンパク質の蛍光強度を維持したままで、動植物の組織や器官を透明化できるようになりました。
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有機化学・薬学

スルフォラファンが炎症誘導性の受容体タンパク質を分解するメカニズムを解明

Gタンパク質共役型受容体「P2Y6R」が難病指定されている炎症性腸疾患(IBD)の発症に寄与することを明らかにしました。緑黄色野菜に多く含まれるスルフォラファンやイベリンが細胞膜表面にあるP2Y6Rと結合し、細胞内への取り込みと分解を促進することで、炎症を抑制することを明らかにしました。
医療・健康

早産児の注意の切り替えの弱さは後の認知発達と関連する

修正齢12ヶ月の早産児と満期産児を対象に、アイトラッカーを用いた注意機能を評価する課題を行い、発達予後を追跡調査しました。修正齢12ヶ月時点において、一部の早産児では注意を切り替える機能に弱さを抱えていることがわかりました。さらに、その機能が弱い児ほど、18ヶ月時点の認知機能や社会性の発達が遅れやすく、注意の切り替えが必要な日常場面でも困難を抱えやすい、という事実を見出しました。
生物工学一般

巨大系統樹推定を可能にする深層分散コンピューティング

大量のDNA配列から高速に巨大な系統樹を推定する「深層分散コンピューティング」FRACTAL手法を開発した。さまざまな系統樹推定ソフトウェアが取り扱えるDNA配列数を飛躍的に拡張させ、最低でも2億の配列から成る巨大な系統樹の推定に利用できることが示された。
医療・健康

腎がんの「ゲノム医療」に貢献~日本人での原因遺伝子・発症リスク・臨床的特徴の大規模解析~

腎がん患者と非がん患者対照群を用いた症例対照研究で世界最大規模となる7,000人以上のゲノムDNA解析を行い、日本人の遺伝性腎がんの原因遺伝子・発症リスク・臨床的特徴を明らかにしました。日本人の腎がん患者それぞれに適した治療を行う「ゲノム医療」に貢献すると期待できます。
生物化学工学

困ったときは兄弟に~学習行動を制御するタンパク質をよく似たタンパク質がサポートする~

線虫 は、PKC-1というタンパク質の働きによって自分の飼育されていた環境を記憶することが知られています。今回、PKC-1の「兄弟分」であるよく似たタンパク質、TPA-1が特定条件でPKC-1の機能をサポートすることを明らかにしました。例えば線虫が老化したときや他の感覚入力に学習行動を邪魔された場合などにおいて、学習がなるべく正常に行われるようにTPA-1が働くことが明らかになりました。
医療・健康

楽器演奏の習得の脳科学的効用~音楽経験により特定の脳活動が活発化~

ヴァイオリン等の楽器を5歳頃より習得してきた中高生は、9歳以降に習得を始めた楽器経験者や未経験者と比較して、音楽判断に対する脳活動が活発になることを発見しました。楽器演奏に必要な音の高さ、テンポの速さ、音の強弱、複数の音の抑揚、という判断を司る脳部位が異なることが、特定の脳活動の活発化から初めて実証されました。音楽などの早期教育が注目を集める中、自然な母語習得を楽器演奏習得に応用した「スズキ・メソード」の有効性が、脳科学によって明らかとなりました。
有機化学・薬学

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に重要な腫瘍進展機構を新たに同定

IPMNは健診などで膵のう胞(液体が貯留した病変)として偶然見つかる膵臓癌のリスクとなる病変であり、近年患者数が増えています。患者由来の生きたIPMN培養モデルを世界に先駆けて構築し、先進的なゲノム・エピゲノム解析を統合駆使することで、(1)IPMNが進展する初期の段階から特有のエピゲノム制御機構が疾患を形成していること、(2)その責任分子としてMNX1・HNF1Bを同定し、IPMNの新たな治療標的となる可能性を発見しました。
細胞遺伝子工学

SARS-CoV-2ラムダ株のウイルス学的・免疫学的性状の解明

新型コロナウイルスの「注視すべき変異株(VOI:variant of interest)」のひとつである「ラムダ株(C.37系統)」が、従来株に比べて感染力が高いこと、そしてその高い感染力は、ラムダ株のスパイクタンパク質特有の、T76IとL452Qというふたつの変異によって規定されていることを明らかにしました。
医療・健康

神経抑制に役立つタンパク質の巧みな光応答メカニズムを解明

理論化学的手法と生化学的手法を用いて、光による神経抑制を可能にするタンパク質であるアニオンチャネルロドプシン(ACR)の反応メカニズムを明らかにしました。光照射に伴ってACRの内部で起こる陰イオンの透過と水素イオンの移動を、2つのアミノ酸残基を連携させるという巧みな方法により制御できることを示しました
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