2024-03-01 京都大学
片岡裕貴 医学研究科客員研究員(兼:京都民医連あすかい病院医師)、染小英弘 国保旭中央病院医長、山本乃利男 岡山大学博士課程学生、伊藤達也 和歌山県立医科大学教授、鈴木智晴 浦添総合病院医師、柘植孝浩 倉敷成人病センター副主任 、藪﨑肇 甲賀病院センター長、土肥栄祐 国立精神・神経医療研究センター室長の研究グループは、メタ疫学研究により、開発業務受託機関(CRO)により実施された、一部の機能性食品の臨床試験の論文およびそれをもとにした広告に、優良と誤認させる要素が多く含まれることを明らかにしました。
機能性表示食品の届け出を行う際、食品の製造・販売会社はしばしば機能性を証明するための臨床試験を開発業務受託機関に依頼します。それらの研究の質や、その結果がどのように消費者やメディアに伝えられているかはこれまであまり検証されてきませんでした。本研究では、日本の大手CRO5社によって実施された臨床試験をランダムに抽出し、論文およびそれをもとにした広告を調べることで、結果と結論の不一致(spin)が多く含まれることを明らかにしました。国、あるいは消費者庁が、機能性表示食品について規制の見直しを検討すべきであることが示唆されました。
本研究成果は、2024年2月28日に、国際学術誌「Journal of Clinical Epidemiology」にオンライン掲載されました。
結果と結論の不一致の例
研究者のコメント
「メタ疫学研究という、研究を対象とした研究は、疫学分野ではメジャーな手法の一つです。しかし、臨床試験をもとにした広告をターゲットにした研究はこれまでに類を見ないもので、本研究の特色の一つと言えます。ご注意いただきたいのは、今回示したのはあくまで一部の健康食品についてであって、全ての健康食品の臨床試験に問題があると主張したいわけではありません。今後は健康食品について、より透明性の高い研究が行われ、より質の高い情報提供が行われるようになることを期待しています。」
詳しい研究内容について
機能性食品の臨床試験を元にした広告への問題提起 ―優良と誤認させる要素が多く含まれる―
研究者情報
研究者名:片岡 裕貴