2024-03-19 東北大学
東北メディカル・メガバンク機構 教授 荻島創一
【発表のポイント】
- 日本の主要なバイオバンク間で、複数のバイオバンクをまたいで利用申請を行う際に、一度の記入で申請が可能な申請システムを開発し、分譲利用を対象にその試行的な運用を開始しました。
- 本申請システムは、バイオバンク横断検索システム注2により検索された試料・情報について、その利用の窓口として機能し、スムーズな利用手続きを行うツールになることが期待されます。
【概要】
世界各国でゲノム医療・研究、創薬開発のためのインフラとして、バイオバンクの整備が進み、欧州ではそのネットワーク構築も行われています。日本でも日本医療研究開発機構(AMED)「ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(ゲノム医療実現推進プラットフォーム・ゲノム研究プラットフォーム利活用システム)」の研究プロジェクトで主要な14のバイオバンクが参画するバイオバンク・ネットワーク注1を構築し、バイオバンク横断検索システムの運用を行うなど利活用の促進に取り組んできました。
このたび、さらなる利活用の促進を図るため、バイオバンク・ネットワークに参画するバイオバンクの分譲申請を共通して行える利用申請システムを開発し、試行的な運用を開始しました。アカデミアや企業のゲノム医療研究、創薬開発の研究者などの利用者は、バイオバンク横断検索システムで検索した試料・情報について、共通の利用申請フォームに一度記入するだけで複数のバイオバンクの担当者にアクセスでき、分譲申請がスムーズに進むことを可能にしました。
バイオバンクが協力して構築した本申請システムを用いて、総計60万人を超える試料・情報が一つのバイオバンクであるかのようにスムーズに利活用できるようになるための一歩となり、よりよいゲノム医療研究、創薬開発が実現し、成果の創出につながると考えられます。
図. 利用申請システムの表示画面
【用語解説】
注1. バイオバンク・ネットワーク
日本医療研究開発機構(AMED)によるゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(ゲノム医療実現推進プラットフォーム・ゲノム研究プラットフォーム利活用システム)の課題「ゲノム医療実現推進のためのバイオバンク利活用促進に向けたバイオバンク・ネットワーク構築とバイオバンク利活用促進利活用促進に関する研究開発」に参画する以下14のバイオバンクによるネットワーク。
<ネットワーク参画バイオバンク>(2024年2月現在)
バイオバンク・ジャパン (BBJ)
東北メディカル・メガバンク計画(TMM)
ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク (NCBN)
・ 国立がん研究センター(NCC)
・ 国立循環器病研究センター(NCVC)
・ 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)
・ 国立国際医療研究センター(NCGM)
・ 国立成育医療研究センター(NCCHD)
・ 国立長寿医療研究センター(NCGG)
京都大学医学部附属病院クリニカルバイオリソースセンター (KUB)
東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンター (TMD)
筑波大学附属病院つくばヒト組織バイオバンクセンター (THB)
岡山大学病院バイオバンク (OBB)
神戸大学医学部附属病院バイオリソースセンター(KBR)
信州大学医学部附属病院バイオバンク信州(BBS)
注2. バイオバンク横断検索システム
研究目的に合致する試料や情報が、どこのバイオバンクにどれだけ保管されているかについて簡単に無料で調べることができるウェブ上の検索システム。
2019年10月の初版公開以来、試料品質管理情報・同意情報の項目を追加した第2版(2020年11月)、疾患特異的臨床情報を追加した第3版(2021年9月)、前向き採取による試料を識別するための項目を追加した第4版(2023年3月)を公開、累次のアップデートを重ねながら運用を行っている。
https://www.biobank-network.jp/cross-search
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
統合データベース室
教授 荻島 創一(おぎしま そういち)
(報道担当)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
広報戦略室
教授 長神 風二(ながみ ふうじ)