栄養障害の客観的アセスメントについて

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長寿NSTニュースレター第38号

2020-01 国立長寿医療研究センター

はじめに
適切な栄養管理には栄養状態の評価が必要です。栄養状態の評価には主観的包括的アセスメント(SGA:Subjective Global Assessment)と客観的アセスメント(ODA:Objective Data Assessment )があります。当院では高齢者、特に認知機能低下を伴う例が多いため、問診からの情報で、体重変化を正確に得ることが難しいことも少なくありません。そのために客観的にアセスメントする方法が必要です。NST では現在、身体測定から行うアセスメントと血液検査から行うアセスメントを行っています。今回はこれらを用いた客観的アセスメントを紹介します。

身体測定を用いた評価法
栄養障害をきたすと筋肉や、脂肪が減少し、予後に影響します。身体測定による評価として、上腕筋囲(AMC:Arm Muscle Circumference)、下腿周囲長(CC:Calf Circumference)を測定算出しています。AMC は、上腕周囲長(AC:Arm Circumference)、上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF:Triceps Skinfold) を計測して算出します。
AMC = AC (cm) – π x TSF (cm)
TSF, AC, CC は原則として非麻痺側で利き手と反対側の腕や脚で測定します。


図 1:左からアディポメーター・インサーテープ・測定位置

測定には上図のようなアディポメーター、インサーテープを使用します。AC, TCF は下記の中間点で計測します。

CC は下腿の最も太い部分で測定します。2002 年に「日本人の新身体計測値 JARD 2001」が報告され、年齢、性別による標準値が設定されています。栄養障害の判定は標準値と比較して行い、90%以上が正常、80%以上 90%未満で軽度、60%以上 80%未満で中等度、60%未満で高度の栄養障害があると判定します。

血液検査を用いた評価法
CONUT(Controlling Nutrition Status)は 2003年に欧州静脈経腸栄養学会で発表された評価法で、日常よく測定されるアルブミン(ALB)、総コレステロール(T-CHO)、リンパ球数(TLC)の値をスコア化し、3 つのスコアの合計で評価します。

ALB(g/dl) ≦3.5 3.0~3.49 2.5~2.99 < 2.5
スコア① 0 1 2 3
T-CHO(mg/dl) ≦180 140~179 100~139 <100
スコア② 0 1 2 3
TLC (/μL) ≦1600 1200~1599 800~1199 <800
スコア③ 0 1 2 3

CONUT スコア (①+②+③)
栄養不良レベル:0-1 正常、2-4 軽度、5-8 中等度、>8 高度

おわりに
今回、栄養障害の客観的アセスメントについて 2つの面から紹介しました。客観的アセスメントは重症度を評価するだけではなく、介入の効果判定にも使用できると考えられています。

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