Ca2+やcAMPを感知する蛍光たんぱく質を開発 ~生きた動物の細胞内セカンドメッセンジャーの動きを観察する~

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2024-03-22 京都大学

Ca2+(カルシウムイオン)やcAMP(3′-5′-アデノシン一リン酸)は、多くの生物の細胞内で情報伝達を担う重要な分子です。Ca2+とcAMPは、互いに影響しながら時々刻々とその細胞内濃度が制御されることで、細胞は役割を果たします。しかし、生きた動物のCa2+とcAMPの動態を、同時に高精度に観察する技術がこれまで不十分であったため、Ca2+とcAMPの間の関係性を精確に調べることはできませんでした。

今回、坂本雅行 生命科学研究科准教授、横山達士 同研究員らの研究グループは、理化学研究所、山梨大学、東京大学と共同で、Ca2+を感知する赤色の蛍光タンパク質「RCaMP3」と、cAMPを感知する緑色の蛍光タンパク質「cAMPinG1」を開発しました。RCaMP3やcAMPinG1はそれぞれ、Ca2+やcAMPと結合すると、その蛍光が明るくなります。RCaMP3とcAMPinG1の両方を、生きたマウスの大脳皮質に存在する神経細胞に発現させ、蛍光顕微鏡で観察したところ、Ca2+とcAMPの間の関係性を明らかにすることができました。この成果は、精神・神経疾患の病態解明および治療法の開発につながるものと期待されます。

本研究成果は、2024年3月21日に、国際学術誌「Nature Methods」に掲載されました。

Ca2+やcAMPを感知する蛍光たんぱく質を開発 ~生きた動物の細胞内セカンドメッセンジャーの動きを観察する~

研究者のコメント

「この研究を始めた当初は思ったようにcAMPの蛍光シグナルがin vivoで検出できず苦労しましたが、暗中模索しながら実験を重ね、最後にはcAMPがどのような情報を脳内で表現することができるのかの一端を解明することができて良かったです。今後は、Ca2+とcAMP以外の生体内分子の動きを感知する蛍光センサーの開発を進めるとともに、これらのイメージング技術を精神疾患の病態解明に応用したいと考えています。」(横山達士)

「海外の研究グループとの厳しい競争になりましたが、共同研究者の先生方のおかけで、今回開発したセンサーが生体イメージングに有用であることを示すことができました。今後もさらなる脳機能の解明を目指して、実用的なツール開発に邁進していきます。」(坂本雅行)

詳しい研究内容について

Ca2+やcAMPを感知する蛍光タンパク質を開発―生きた動物の細胞内セカンドメッセンジャーの動きを観察する―

研究者情報

研究者名:坂本 雅行
研究者名:横山 達士

有機化学・薬学
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