パセリ油の不飽和脂肪酸が黄色ブドウ球菌の病原因子を阻害するメカニズムを解明

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2024-5-21 京都工芸繊維大学

分子化学系 北所健悟 准教授らの研究グループは、黄色ブドウ球菌(※1)が産生する病原因子の1つである「リパーゼ(SAL)」とパセリから抽出される不飽和脂肪酸(※2)のペトロセリン酸(PSA)との複合体の立体構造をX線構造解析(※3)の方法を用いて、世界で初めて解明しました。
不飽和脂肪酸「PSA」が既存のSAL阻害剤と同等のレベルでSALの活性を阻害することを発見しました。更に、SALとPSAとの複合体の構造を原子レベルで解析することによって、PSAによる阻害のメカニズムを解明することに成功しました。
本研究成果は、構造情報を元にしたSALに対する薬剤の理論的な開発に役立つと考えられ、より有効性が高く副作用の少ない治療薬の探索・設計が可能になると期待されます。特に、SALが黄色ブドウ球菌の増殖に関与していることから既存の抗菌薬の効かないMRSA感染症(※4)や、黄色ブドウ球菌によって引き起こされるアトピー性皮膚炎などの治療薬の発展が期待されます。また不飽和脂肪酸による酵素の阻害メカニズムが解明されたことから、PSA によるヒトリパーゼへの阻害の可能性と抗肥満薬への適応の可能性が示唆されました。

パセリ油の不飽和脂肪酸が黄色ブドウ球菌の病原因子を阻害するメカニズムを解明

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本研究成果は、2024年5月16日付けで「FEBS OpenBio」オンライン版(外部リンク)に掲載されました。

用語解説
(注1)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus;SA菌)
ヒトの鼻腔などに存在する常在菌で、化膿した傷口の膿の部分に多く存在し、感染症の原因となる多くの毒素タンパク質や酵素などの病原因子を産生します。病原性が強い菌で、基礎疾患のある人など、免疫力の低下した患者に対して、肺炎、敗血症、骨髄炎、関節炎などの重篤な感染症を引き起こします。

(注2)不飽和脂肪酸
カルボン酸を末端に持つアルキル基のうち、分子内に二重結合を持つものの総称です。オリーブオイルに含まれるオレイン酸が有名ですが、健康に良いとされているそのメカニズムは不明な点が多いです。

(注3)X線構造解析
タンパク質の立体構造を決定する手法で、ターゲットとなるタンパク質を結晶化し、大型放射光施設「SPring-8(スプリングエイト)」などの強いビームを使って、X線照射して得られた回折データから、タンパク質の原子レベルでの立体構造を解析します。

(注4)MRSA (Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)感染症
メチシリンなどのペニシリン剤やβラクタム剤など多くの抗生物質が効かない耐性を持った黄色ブドウ球菌によって引き起こされた感染症で、幼児や高齢者など免疫力が低下した患者が感染すると、多くの種類の抗菌薬が効かないために、治療が進まずに重症化し、死に至るケースがあります。

有機化学・薬学
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