ミトコンドリア分裂の必須因子を発見~狭窄後のトドメが分裂の決め手~

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2024-06-07 九州大学

医学研究院 古川健太郎 助教

ポイント
  • ミトコンドリアの分裂は、ダイナミン様タンパク質に狭窄されることによって起こると考えられてきましたが、それだけで十分かどうかは証明されていませんでした。
  • ミトコンドリア内に存在するマイトフィッシン/Atg44がダイナミン様タンパク質による分裂において決め手となることを明らかにしました。
  • ミトコンドリアは細胞にエネルギーを供給する重要な細胞小器官であり、その形態制御に関する本研究は、ミトコンドリア異常により生じる様々な疾患の病態解明や治療法開発に結び付くものと期待されます。
概要

エネルギー産生を担うミトコンドリアは、細胞外の環境情報に応じて分裂と融合によるダイナミックな形態変化を示すことが知られています。ミトコンドリアの分裂では、ダイナミン様タンパク質 (酵母Dnm1/哺乳類Drp1) がミトコンドリアの外側からリング状に巻き付くことによってミトコンドリアの狭窄・分裂が起こるというモデルが長年信じられてきました。しかしながら、Dnm1/Drp1の力だけで本当にミトコンドリアが分裂するのかという疑問が残っていました。
九州大学大学院医学研究院の古川健太郎助教、神吉智丈教授、新潟大学大学院医歯学総合研究科の芝田晋介教授らの共同研究グループは、Dnm1による狭窄だけではミトコンドリアの分裂は完了せず、マイトフィッシンと呼ばれるミトコンドリアの中に存在するタンパク質が分裂の決め手となることを明らかにしました。
今回の研究成果は、長年未解決だったミトコンドリア分裂の研究におけるブレイクスルーとなるだけでなく、ミトコンドリア異常により生じる様々な疾患の病態解明や治療法開発に繋がることが期待されます。
本研究成果は米国の科学雑誌「Autophagy」に2024年6月4日(火)(米国時間)に掲載されました。


マイトフィッシンとダイナミン様タンパク質の協調によるミトコンドリア分裂モデル

論文情報

掲載誌:Autophagy
タイトル:Atg44/Mdi1/mitofissin facilitates Dnm1-mediated mitochondrial fission
著者名:Kentaro Furukawa*, Manabu Hayatsu, Kentaro Okuyama, Tomoyuki Fukuda, Shun-ichi Yamashita, Keiichi Inoue, Shinsuke Shibata, Tomotake Kanki*(*責任著者)
DOI:10.1080/15548627.2024.2360345

お問い合わせ先

医学研究院 古川 健太郎 助教
医学研究院 神吉 智丈 教授

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