進化研究のモデル生物のトゲウオにおいて全ゲノムレベルでヒストン修飾を解析

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2024-07-12 国立遺伝学研究所

ゲノム中には、タンパク質やRNAをコードしない非コード領域が存在します。非コード領域の中にはプロモーターやエンハンサーなどの遺伝子発現制御に重要な領域があり、これらの領域に生じた突然変異によって進化が起こることが知られています。しかし、非コード領域の中からプロモーターやエンハンサーなどを同定することは通常なかなか困難なため、実際の野生生物の進化に重要な遺伝子発現の調節領域の変異に関する研究はなかなか進んでいません。

プロモーターやエンハンサーは、活性・抑制状態などに応じて特定のヒストン修飾を示します。そこで、ヒストン修飾を解析することで遺伝子発現の調節領域を検出することができ、ヒトやマウスなどでは全ゲノムレベルで解析されています。

このたび、生態遺伝学研究室の奥出絃太研究員と北野潤教授らの研究グループは、CUT&Tagという手法を用いて、進化研究のモデル生物であるトゲウオ科イトヨにおいて、全ゲノムレベルでヒストン修飾状態を解析しました。その結果、複数の遺伝子発現調節領域を検出し、そのうちのいくつかについては、岐阜県の河川集団(ハリヨ)と北海道のイトヨ太平洋集団の間で、転移因子による挿入・欠失変異が生じていることを見出しました。生態遺伝学研究室では、本論文で確立した手法を用いて野生生物の進化に重要な役割を果たした遺伝子発現の調節領域の変異を見出していきます。

本研究は、学術振興会、科研費、JST CRESTなどの支援を受けて実施されました。

進化研究のモデル生物のトゲウオにおいて全ゲノムレベルでヒストン修飾を解析


Genome-wide analysis of histone modifications can contribute to the identification of candidate cis-regulatory regions in the threespine stickleback fish.

Okude, G., Yamasaki, Y. Y., Toyoda, A., Mori, S., and Kitano, J

BMC Genomics (2024) 25, 685 DOI:10.1186/s12864-024-10602-w

細胞遺伝子工学
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