2024-09-25 慶應義塾大学,大阪大学,東京大学,理化学研究所,科学技術振興機構(JST)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の脅威に立ち向かうための共同研究グループ「コロナ制圧タスクフォース」では、これまでCOVID-19重症化因子の解明等重要な知見を提示してきました。今回、王青波准教授(東京大学大学院医学系研究科遺伝情報学/研究当時)、岡田随象教授(大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学/東京大学大学院医学系研究科遺伝情報学/理化学研究所生命医科学研究センターシステム遺伝学チーム)、南宮湖専任講師(慶應義塾大学医学部感染症学教室)を中心とした研究グループは、COVID-19の患者1,405名の検体を用いた血漿中タンパク質の網羅的な解析により、血漿タンパク質量の個人差に寄与するヒトゲノム配列を大規模に同定しました。
本研究では、これまでの先行研究において原因変異として精緻に推定(fine-mapping)され、血漿タンパク質発現を制御する582箇所のヒトゲノム変異を比較し、タンパク質の機能情報を統合的に解析することにより、原因変異においてはミスセンス変異や機能喪失変異である確率が1000倍以上高いことが示されました。また、血液中mRNA発現量との比較や、疾患等の複雑形質との関連の評価、COVID-19重症度との相互作用の解析により、血漿におけるタンパク質発現を決定する多様な要素を明らかにすると共に、mRNA発現のみでは同定できない疾患との関連性が広く存在することが示されました。これらの結果は、ゲノムの個人差による遺伝子発現制御を通じた複雑形質の関連について、より詳細な理解につながると考えられます。
本研究成果は、2024年9月24日(英国時間)に国際科学誌Nature Geneticsオンライン版に掲載されました。コロナ制圧タスクフォースは未来のパンデミックに備える社会の公器として、引き続き活動を続けていきます。
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