2024-09-30 愛媛大学
愛媛大学プロテオサイエンスセンター病態生理解析部門・大学院医学系研究科病態生理学講座の酒井大史特任講師、今井祐記教授らの研究グループは、九州大学生体防御医学研究所の大川恭行教授、上住聡芳教授らとの共同研究により、男性ホルモン(アンドロゲン)が、骨格筋の間葉系前駆細胞に発現するアンドロゲン受容体(AR)を介して、骨格筋の量を制御していることを解明しました。
男性ホルモンは、その名前のとおり、男性の性的特徴(第二次性徴)の形成を促進する重要な役割を持っています。さらに、男性ホルモンは、アナボリックステロイドという別名が示すとおり、タンパク質同化作用(アナボリック作用)を持っており、人体に投与すると骨格筋が肥大することが知られています。しかしながら、その作用機序に関しては不明な点が多くありました。
今回の研究では、骨格筋の間葉系前駆細胞にARが発現していること、また間葉系前駆細胞特異的にARを欠損させると骨格筋の量が減少すること、さらにARがIGF1の発現を調整することで、骨格筋量を制御していることを明らかにしました。本研究は、男性ホルモンによる骨格筋制御の新たなメカニズムを提示しており、筋萎縮の予防・治療方法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」の電子版に公開されました(令和6年9月19日(日本時間))。
論文情報
掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
DOI:10.1073/pnas.2407768121
題名:The androgen receptor in mesenchymal progenitors regulates skeletal muscle mass via Igf1 expression in male mice.
(間葉系前駆細胞におけるアンドロゲン受容体は、雄マウスにおいてIgf1発現を介して骨格筋量を制御する)
著者:Hiroshi Sakai, Hideaki Uno, Harumi Yamakawa, Kaori Tanaka, Aoi Ikedo, Akiyoshi Uezumi, Yasuyuki Ohkawa, Yuuki Imai
責任著者:酒井大史、今井祐記
本件に関する問い合わせ先
愛媛大学プロテオサイエンスセンター
病態生理解析部門 今井 祐記