ゼブラフィッシュの房室管の心筋細胞は 冠血管の形成を調節する

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2024-11-11 山形大学

国立循環器病研究センター研究所と山形大学で行われた 冠血管の発生についての研究が国際雑誌に掲載されました。

ゼブラフィッシュの房室管の心筋細胞は 冠血管の形成を調節する

【研究成果の概要】
本論文は、冠血管の形成に関与する心筋部位を、ゼブラフィッシュを用いて明らかにしました。
近年のシングルセル解析により、心臓は多様な心筋細胞で構成され、部位ごとの遺伝子発現の違いが心臓の機能に必要であることが明らかになってきました。しかし、それぞれの部位ごとの特異的な機能は明らかになっていませんでした。私たちは、特異的な機能を持つ心筋細胞は特異的なシグナル伝達経路を活性化するのではないかと考え、Wnt/β-カテニンシグナルの活性化した心筋細胞 (β-Cat ON 心筋) を可視化するトランスジェニックゼブラフィッシュを樹立し観察しました。
β-Cat ON 心筋は、心室と心房の間に存在する房室管領域で、生後2日目から成体まで持続的に観察されました。また、その活性化には心臓の拍動が必要であることが明らかになりました。私たちは、β-Cat ON 心筋の細胞死を誘導すると冠血管の形成が抑制されることを見出しました。β-Cat ON 心筋は、線維芽細胞増殖因子3などの分泌因子を介して冠血管内皮細胞の動脈化と遊走を促進し、冠血管の形成を調節すると考えられました。
これらの結果から、β-Cat ON 心筋は冠血管の形成に寄与する心筋部位であることが明らかになりました。

【論文タイトル】
Zonated Wnt/β-catenin signal-activated cardiomyocytes at the atrioventricular canal promote coronary vessel formation in zebrafish

【論文著者】
Ayano Chiba 1), 2), Takuya Yamamoto 3), 4), 5), Hajime Fukui 2), 6), Moe Fukumoto 2), Manabu Shirai 7), Hiroyuki Nakajima 2), Naoki Mochizuki 2)

【所属】
1)山形大学医学部 薬理学講座
2)国立循環器病研究センター研究所 細胞生物学部
3)京都大学iPS細胞研究所 (CiRA) 未来生命科学開拓部門
4)京都大学高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi)
5)理化学研究所革新知能統合研究センター(AIP)iPS細胞連携医学的リスク回避チーム
6)徳島大学 先端酵素学研究所 生体力学シグナル分野
7)国立研究開発法人国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター

【雑誌名】Developmental Cell
doi: 10.1016/j.devcel.2024.09.012.

論文はこちら(PDF)

医療・健康
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