文化的思考がパンデミック対応に影響~COVID-19の文化比較から未来への教訓~

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2024-12-18 京都大学

内田由紀子 人と社会の未来研究院教授は、米国スタンフォード大学(Stanford University)との共同研究により、コロナ禍での人の行動、認知、感情を通じて、文化が危機対応に与える役割を明らかにしました。米国と日本、台湾、韓国の文化的特徴が対応の違いに影響した過程を解明し、将来の危機に新たな視点を提供するものです。COVID-19は世界中で未曾有の課題を突きつけましたが、その対応による成否は違いがありました。本研究は、「文化的デフォルト」と呼ばれる、無意識的に採用される思考が、この違いに関与していることを論じました。過去数十年にわたる心理学研究を精査し、COVID-19の初期対応におけるリーダーのスピーチや報道内容を分析しました。米国では楽観主義や個人の判断がデフォルトとされる一方、日本では現実主義や社会の要請にあわせた行動が重視されていました。これらの違いが、感染拡大抑制の成功度合いに影響したと考えられます。自文化のデフォルトを認識して他国の状況から学ぶことが、グローバルなリスク解決に役立つ可能性があります。多様な人が協力して新しい危機に立ち向かう際に互いに調整していくことも重要です。

本研究成果は、2024年12月17日に、国際学術誌「Psychological Science in the Public Interest」にオンライン掲載されました。

文化的思考がパンデミック対応に影響~COVID-19の文化比較から未来への教訓~

研究者のコメント

「2019年、スタンフォード大学で仕事をしていた時にパンデミックが発生し、滞在期間を短縮して帰国しました。別れ際に文化によるパンデミックへの対応の違いをマーカス教授・ツァイ教授と語り合い、この経験を必ず理論的に分析しようと約束しました。その後オンラインや対面の会議を重ね、5年かけて本論文を完成させました。今後起こるリスクにどう対応するかについての人文社会科学からの視点を届けたいと思います。」(内田由紀子)

詳しい研究内容について

文化的思考がパンデミック対応に影響―COVID-19の文化比較から未来への教訓―

研究者情報

研究者名:内田 由紀子

医療・健康
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