2025-07-19 Tii技術情報研究所
最新の創薬関連記事をテーマ別に分類し、概要とトレンド分析をまとめました。
📦 構造解析技術
1. 第二世代結晶スポンジ法(中分子構造解析)
分野:X線構造解析
概要:IMSの藤田誠グループが、カゴ型金属コーディネーションケージを用いた結晶スポンジ法の第二世代を開発。高極性/分子量1000超の中分子薬を100件以上構造解析可能に 。

効果:中分子薬開発の構造把握が容易に。
課題:ケージの合成コストや適合性、汎用性の検証が今後の焦点。
方向性:多様な中分子・複合体解析への展開、効率化とコスト低減。
概要:IMSの藤田誠グループが、カゴ型金属コーディネーションケージを用いた結晶スポンジ法の第二世代を開発。高極性/分子量1000超の中分子薬を100件以上構造解析可能に 。

第二世代結晶スポンジ法~中分子創薬化合物を標的に「簡便・汎用」な構造解析を実現~
2025-03-06 分子科学研究所分子科学研究所(IMS)は、2025年3月6日にプレスリリースを発表し、藤田誠グループが「第二世代結晶スポンジ法」を開発したことを報告しました。◆この新技術は、優れた分子捕捉力を持つかご型分子を結晶内に...
効果:中分子薬開発の構造把握が容易に。
課題:ケージの合成コストや適合性、汎用性の検証が今後の焦点。
方向性:多様な中分子・複合体解析への展開、効率化とコスト低減。
🧪 新合成手法
2. 窒素置換自在なジアゼン合成(脱アミノ)
分野:有機合成
概要:九州大・名工大が有害試薬不要でジアゼンを1ステップ合成。基質の自然分解性を活用し、炭素–窒素→他結合へ変換可能。

効果:合成の安全性向上および多様な官能基転換。
課題:スケールアップや触媒の選択性、機能性の制御が必要。
方向性:創薬中間体合成への導入、高度な官能基設計への応用。
概要:九州大・名工大が有害試薬不要でジアゼンを1ステップ合成。基質の自然分解性を活用し、炭素–窒素→他結合へ変換可能。
世界初、窒素原子の自由な付け替えが可能に!~より安全・シンプルに。創薬や機能性材料開発に貢献~
2025-07-18 九州大学九州大学と名古屋工業大学の研究チームは、かさ高いα–三級アミンから有害試薬を使わずに1段階で「ジアゼン」を合成する新手法を開発しました。得られたジアゼンは、熱や光で分解してラジカルを生成し、炭素–窒素結合を炭素...
効果:合成の安全性向上および多様な官能基転換。
課題:スケールアップや触媒の選択性、機能性の制御が必要。
方向性:創薬中間体合成への導入、高度な官能基設計への応用。
🧬 標的・経路解析
3. PTH1R‑Gq クライオEM解析(GPCRドラッギング)
分野:構造生物学/GPCR創薬
概要:東大・京大がPTH1RとGq複合体のCryo‑EM構造を明らかにし、Gq/Gs選択性制御機序を解明。

効果:骨粗鬆症薬の設計において副作用の少ないGs偏重アゴニスト設計が可能に。
課題:Gs優先アッセイ系の開発と臨床活用。
方向性:偏向性GPCRリガンド設計にシフト。
概要:東大・京大がPTH1RとGq複合体のCryo‑EM構造を明らかにし、Gq/Gs選択性制御機序を解明。

副甲状腺ホルモン1型受容体のGタンパク質選択機構を解明~次世代の骨粗鬆症治療薬開発に向けた創薬基盤を提供~
2025-06-26 東京大学東京大学と京都大学の研究チームは、副甲状腺ホルモン1型受容体(PTH1R)とGタンパク質Gqとの複合体の立体構造をクライオ電子顕微鏡で解析し、Gタンパク質選択機構を解明しました。構造解析と細胞実験から、PTH1...
効果:骨粗鬆症薬の設計において副作用の少ないGs偏重アゴニスト設計が可能に。
課題:Gs優先アッセイ系の開発と臨床活用。
方向性:偏向性GPCRリガンド設計にシフト。
📡 ナノキャリア・DDS
4. エクソソーム模倣ナノ粒子
分野:ドラッグデリバリー
概要:北大がマイクロ流体技術でタンパク質修飾Exosome-like LNPを作製。特定表面分子(ITGαVβ5)でRNA送達効率を大幅に向上。
効果:DDSの効率と標的性が向上。
課題:免疫反応、安全性と大量製造性。
方向性:標的治療・RNA/mRNAワクチン/診断への応用進展。
概要:北大がマイクロ流体技術でタンパク質修飾Exosome-like LNPを作製。特定表面分子(ITGαVβ5)でRNA送達効率を大幅に向上。

エクソソーム模倣ナノ粒子の作製に成功~エクソソーム創薬や診断技術の確立に期待~
2025-06-19 北海道大学北海道大学の真栄城正寿准教授らは、マイクロ流体デバイスを用い、エクソソームを模倣した脂質ナノ粒子の作製に成功しました。粒径や表面タンパク質(CD9、CD63、CD81、インテグリンなど)を均一に制御し、siR...
効果:DDSの効率と標的性が向上。
課題:免疫反応、安全性と大量製造性。
方向性:標的治療・RNA/mRNAワクチン/診断への応用進展。
🧠 空間オミクス・情報基盤
5. SOARプラットフォーム(“分子GPS”)
分野:空間トランスクリプトミクス
概要:ノースウェスタンが13種・3461サンプル対応の空間転写プラットフォームを公開。疾患標的の高速同定を可能にし、製薬企業間での採用進行中。
創薬を加速する新しい「分子GPS」を開発(New ‘Molecular GPS’ Will Fast-Track Drug Discovery)2025-06-09 ノースウェスタン大学ノースウェスタン大学の研究チームは、創薬を加速する新プラットフォーム「SOAR(Spatial transcriptOmics Analysis Resource)」を開発しました。SOARはヒトか...
効果:標的発見の迅速化とデータ駆動型前臨床解析の効率化。
課題:データのバイアス管理や標本多様性、統合解析戦略の高度化。
方向性:適応疾患拡大とAI連携による創薬インパクト増大。
🧬 幹細胞・細胞プラットフォーム
6. 標準参照iPSCラインの多様化
分野:iPSC活用
概要:京大CiRAが多人種遺伝背景を反映した参照iPSCラインの枠組みを提案。再生医療・薬効評価の公平性と信頼性を向上。

効果:薬効や毒性評価の多様性を担保。
課題:ライセンス・倫理・技術的標準化。
方向性:国際協調による臨床創薬基盤の構築。
概要:京大CiRAが多人種遺伝背景を反映した参照iPSCラインの枠組みを提案。再生医療・薬効評価の公平性と信頼性を向上。

多様な人種・遺伝背景に対応する"標準参照細胞"を目指して~病気研究・創薬・再生医療を支えるiPS細胞の新たな基準作り~
2025-06-06 京都大学iPS細胞研究所京都大学iPS細胞研究所(CiRA)らの国際研究チームは、多様な人種・遺伝的背景を反映する「標準参照iPS細胞」の枠組みを提案。従来の欧米系男性由来iPS細胞に偏った基準を見直し、多民族由来の細...
効果:薬効や毒性評価の多様性を担保。
課題:ライセンス・倫理・技術的標準化。
方向性:国際協調による臨床創薬基盤の構築。
🫀 培養系による機能評価プラットフォーム
7. 心毒性評価向け人工心臓EHTデバイス
分野:in vitro毒性評価
概要:CiRAが低吸着ポリスチレン+自動解析で細かい収縮力の変化評価が可能に。ドキソルビシンによる低濃度毒性も検出。
効果:定量的かつ精密な心毒性評価。
課題:他器官との相互作用や臨床相関性の検証。
方向性:オルガンチップとの統合や多臓器モデル開発。
概要:CiRAが低吸着ポリスチレン+自動解析で細かい収縮力の変化評価が可能に。ドキソルビシンによる低濃度毒性も検出。

ヒト心臓への作用を評価する創薬のための培養系プラットフォーム~人工心臓組織デバイスを低吸着素材に変えて精度向上~
2025-06-05 京都大学iPS細胞研究所京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の吉田善紀准教授らの研究チームは、薬剤評価の精度を向上させる新たな人工心臓組織(EHT)デバイスを開発しました。従来のデバイス素材であるPDMSは薬剤を吸着し...
効果:定量的かつ精密な心毒性評価。
課題:他器官との相互作用や臨床相関性の検証。
方向性:オルガンチップとの統合や多臓器モデル開発。
🧪 オミクスDB・AI解析
8. Localizatome(酸化ストレス下のタンパク質局在DB)
分野:プロテオミクス/機械学習
概要:東京科学大学が8000種超のストレス依存性タンパク質局在変化データを収録し、1,910種で集積体形成のモチーフ解析も。
効果:疾患・創薬標的理解の深化。
課題:ライブ細胞への汎用性、機能検証への移行。
方向性:AIによる局在予測と薬剤作用メカニズムの予測。
概要:東京科学大学が8000種超のストレス依存性タンパク質局在変化データを収録し、1,910種で集積体形成のモチーフ解析も。

酸化ストレス応答に着目したデータベース「Localizatome」を開発~8,000種超のタンパク質局在変化を網羅的解析、老化・がんなどの研究や創薬に貢献~
2025-05-12 東京科学大学東京科学大学を中心とした研究グループは、酸化ストレス下でのタンパク質の細胞内局在変化を網羅的に解析し、世界初のデータベース「Localizatome」を開発しました。独自のハイスループット顕微鏡と機械学習を...
効果:疾患・創薬標的理解の深化。
課題:ライブ細胞への汎用性、機能検証への移行。
方向性:AIによる局在予測と薬剤作用メカニズムの予測。
🔍 トレンド総まとめ
🧭 今後の創薬戦略ポイント
🎯 結び


