DAST技術の独自展開によりバイオケミカル分野への幅広い応用を期待~微量液滴間の接触によりヒスタミン供給量を調整し液滴内の細胞カルシウム振動の変化を初実証~

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2022-08-10 京都大学

樋口ゆり子 薬学研究科准教授、小西聡 立命館大学教授、玉寄あすか 同博士課程前期課程修了生らの研究チームは、Hela細胞が入った数マイクロリットルの微量液滴に別の液滴を上側から接触させ、ピペットを用いないで異なる量のヒスタミンを供給し、供給したヒスタミン量の違いより、誘導される細胞のカルシウム振動現象強度に違いが出ることを実証しました。

本研究成果は、2022年7月26日に、「Sensors and Actuators: B. Chemical」オンライン版に掲載されました。

本件のポイント

■ 本研究は、droplet-array sandwiching technology(以降 DAST※)を基本技術としています。DAST では、基板やチップ上に多数の微量液滴をアレイ状に整列させ、上下に対向配置した対向基板上の同様の微量液滴アレイとの距離を制御して接触/分離を操作します。基本は基板上の液滴アレイの一括操作です。
■ 我々の研究チームは、独自に DAST の微量液滴の形状を電気的に個別に制御する技術を開発し、液滴アレイの一括操作だけでなく、独立操作を可能としました。この個別液滴操作技術を用いれば、液滴の接触時間を個別に制御することができるため、上側液滴から下側液滴に供給する物質の量を個別に調整することができます。
■ 本研究では、液滴間接触時間により調整した下側液滴のヒスタミン量(濃度)に依存して、下側液滴の底面に接着した Hela 細胞のカルシウム振動の強度が変化する現象を顕微鏡で検知することに成功しました。今回の成果は、独自に発展させた DAST 技術のバイオケミカル分野への幅広い応用可能性を具体的に示したものとなります。
※参考:小西聡ほか,Selective control of the contact and transport between droplet pairs by electrowettingon-dielectric for droplet-array sandwiching technology, Scientific Reports 11,12355(2021)
https://www.nature.com/articles/s41598-021-91219-x

本研究は、DAST を基本技術とし、上下液滴間の接触による試薬供給制御を用いて、異なる量の試薬刺激に対する下側液滴内の細胞振動挙動の制御の可能性について実証することに成功しました。微量液滴アレイ技術として、多数の液滴間の操作に展開することが可能となり、DAST を用いた高スループットバイオケミカルアッセイ系への応用可能性を提示しました。

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図:生化学アッセイの従来ツールを液滴で代替し、大量の微量液滴によるハイスループット技術へ

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:樋口 ゆり子

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有機化学・薬学
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