芦生研究林で絶滅危惧植物のフガクスズムシソウを発見

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2020-07-14 京都大学

阪口翔太 地球環境学堂助教、石原正恵 フィールド科学教育研究センター准教授らの研究グループは、芦生研究林で絶滅危惧植物「フガクスズムシソウ」を発見しました。

2019年7月、芦生研究林内のブナの幹で花を咲かせるラン科植物が福本繁 氏(京都市・芦生生物相保全プロジェクト)によって発見されました。これまで芦生研究林で記録されていた他の着生植物とは形態が異なったため、阪口助教が解剖学的解析・遺伝子分析を行って種を特定しました。その結果、京都府を含む近畿地方北部には分布しないと考えられていた絶滅危惧植物「フガクスズムシソウ」であることが判明しました。

フガクスズムシソウは富士山で初めて発見され、茶褐色の花が昆虫のスズムシを思わせる形をしていることから、その名が付けられた植物です。原生的な森林にのみ分布する希少植物ですが、森林伐採や園芸用採取などが原因となり各地で数を減らしています。芦生研究林のフガクスズムシソウは現在のところ1つのエリアでしか確認されておらず、これが近畿地方北部で唯一となる貴重な個体群となっています。100年間研究が続けられてきた芦生研究林ですが、未だに生物の不思議を秘めた場所であり、今回の発見は、近畿地方の生物多様性保全の面からも芦生研究林が重要な地域であることを示す事例といえます。

本研究成果は、2020年7月13日に発表され、学術誌「植物地理・分類研究」68巻1号(2020年11月発行予定)に掲載されます。

図:芦生研究林で発見されたフガクスズムシソウの開花個体

詳しい研究内容≫

細胞遺伝子工学生物化学工学
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