2021-01-05 東京大学
生殖医療において体外受精・胚移植の技術の進歩は目覚ましく、日本では出生児16人に1人が体外受精・胚移植妊娠によるものとなっています。体外受精・胚移植の成功率を高めることは少子化に対する1つの対策になります。体外受精で得られた良好胚を子宮内に移植しても反復して不成功することを着床障害と呼びますが、着床障害に対する有効な診断・治療法が確立していないため、生殖医療の大きな課題となっています。
東京大学大学院医学系研究科の廣田泰准教授、赤枝俊特任臨床医、大須賀穣教授らは、子宮内膜において子宮内膜上皮の細胞増殖が停止した状態になることが胚浸潤に必要であることを、遺伝子改変マウスやヒト着床期子宮内膜を用いた研究を行いて明らかにしました。黄体ホルモンの作用によって、子宮側の最初のバリアである子宮内膜上皮が細胞増殖を停止させ、自ら細胞死を起こして消失し、胚が子宮内膜に入り込むことができることを示したのは世界初です。本研究成果は着床障害の新規診断・治療法の開発につながると期待されます。
本研究成果は日本時間2021年1月5日にEMBO Reports(オンライン版)にて発表されました。