血液脳関門における薬物排出ポンプを考慮した薬物の脳移行性予測システムの開発

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2021-02-24 医薬基盤・健康・栄養研究所

この度、弊所AI健康・医薬研究センターの水口賢司センター長、並びにバイオインフォマティクスプロジェクトの渡邉怜子プロジェクト研究員の研究グループは、薬物の脳への移行性が予測可能な新たなインシリコ予測モデル1)の開発に成功しました。さらに、このモデルに基づき構築したシステムを、誰もが利用できるアプリケーションとして、Web上に公開しました(https://adme.nibiohn.go.jp/brain-penetration)。

薬物の脳移行性を予測するインシリコ予測モデルの開発は、薬物動態2)に影響を与える様々な因子を考慮する必要があることや、血液脳関門3)の仕組みが複雑であることから、難しい課題とされてきました。今回開発したモデルは、血液脳関門において薬物の脳移行性に大きく影響するトランスポーター4)であるP-糖タンパク質5)の化合物輸送能を考慮していることから、既存の方法と比べて高精度な予測が可能となりました。

今後、本手法を中枢神経作用薬の創薬初期段階における化合物の絞り込みや最適化に利用することで、医薬品開発の効率化への貢献が期待されます。

※用語解説
1)インシリコ予測モデル:様々な指標をコンピュータ上で予測するモデルのこと。
2)薬物動態:薬物が体内に投与されてから排泄されるまでの過程のこと。
3)血液脳関門:血液と脳組織との物質移動を制限する仕組み。
4)トランスポーター:生体内において、細胞膜を介して物質を輸送するタンパク質の総称。
5)P-糖タンパク質:脳の毛細血管の内皮細胞に発現するタンパク質であり、細胞内に入った毒物・薬物を血中へ汲み出すことにより脳内への侵入を防いでいる。

詳しい資料は≫

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有機化学・薬学
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