光で狙った細胞を死滅させる新技術の開発 ~副作用のない光がん治療法に向けて~

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2022-02-17 岡山大学,科学技術振興機構

光で狙った細胞を死滅させる新技術の開発 ~副作用のない光がん治療法に向けて~

ポイント
  • 細胞を死滅させる技術は、がんの治療に利用されています。
  • 細胞をアルカリ化する光感受性たんぱく質を用いることで、光で狙った細胞を死滅させる新技術を開発しました。
  • 周りの正常な細胞には毒性を与えず、がん細胞を選択的に死滅させる「副作用のない光がん治療法」の開発につながると期待できます。

岡山大学 学術研究院医歯薬学域(薬)の須藤 雄気 教授、小島 慧一 助教、同 薬学部の中尾 新 学部生の共同研究グループは、細胞をアルカリ化する光感受性たんぱく質を用いることで、光で狙った細胞を選択的に死滅させる新技術の開発に成功しました。

細胞を死滅させる技術は、がんの治療に利用されています。これまで、細胞を死滅させる方法としては、主に薬(薬剤)が用いられてきました。しかし多くの薬は、目的のがん細胞だけでなく周囲の正常な細胞にも作用してしまい、投与によって毒性(副作用)を引き起こしてしまうという課題がありました。本研究で開発した「光細胞死滅法」をヒトのがんへと適用することで、周囲の正常な細胞には毒性を与えず、狙ったがん細胞のみを死滅させることが可能な「副作用のない光がん治療法」の開発につながると期待できます。

本研究成果は、アメリカ化学会誌「Journal of the American Chemical Society」電子版(現地時間(米国東部標準時):2月17日)に掲載される予定です。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「光の特性を活用した生命機能の時空間制御技術の開発と応用」研究領域における研究課題名「ファイバーレス光遺伝学による高次脳機能を支える本能機能の解明」(JPMJCR1656)、文部科学省 科学研究補助金(基盤研究B:18H02411、21H02446、新学術領域研究:19H04727、19H05396、21H00404、萌芽研究:20K21482、若手研究:19K16090、21K15054)などの支援を受けて実施しました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Phototriggered Apoptotic Cell Death (PTA) Using the Light-Driven Outward Proton Pump Rhodopsin Archaerhodopsin-3”
DOI:10.1021/jacs.1c12608
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
須藤 雄気(スドウ ユウキ)
岡山大学 学術研究院医歯薬学域(薬) 教授

小島 慧一(コジマ ケイイチ)
岡山大学 学術研究院医歯薬学域(薬) 助教

<JST事業に関すること>
保田 睦子(ヤスダ ムツコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ

<報道担当>
科学技術振興機構 広報課

医療・健康
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