2022-03-03 東北大学
【発表のポイント】
- 高分子の合成に重要なイソプレノイド重合酵素の結晶構造と重合反応の制御機構を解明
- 重合酵素の機能改変により、自然界にはない重合度14のポリイソプレノイドの合成に成功
- 本成果をもとに、新規バイオポリマー合成酵素のデザインが可能となる
【概要】
イソプレノイドと総称される天然化合物は、生体防御に関わる低分子化合物から分子量100万以上の天然ゴムに至るまで、全て炭素数5の基本構造を有する化合物が重合することで生合成されます。しかし、それらを合成する酵素がどのように重合度を制御しているかはほとんど未解明でした。この度、東北大学大学院工学研究科(高橋征司准教授ら)、金沢大学理工研究域(山下哲准教授ら)、理化学研究所放射光科学研究センター(竹下浩平研究員、山本雅貴GDら)、住友ゴム工業株式会社による共同研究グループは、トマトの生体防御物質前駆体であるネリル二リン酸(重合度2)を合成する重合酵素(NDPS1)の結晶構造を決定し、それをもとに重合反応の制御機構を解明しました。また、酵素の構造を改変し、より長鎖(重合度14)の自然界には存在しないイソプレノイドを合成することにも成功しました。今回の成果は、新規バイオポリマー合成への発展が期待できます。
この共同研究の成果は、2月8日付で生命科学分野の国際誌であるThe FEBS Journalにオンライン公開されました。
図1 NDPS1の結晶構造
問い合わせ先
<研究に関すること>
東北大学大学院工学研究科 バイオ工学専攻
准教授 高橋 征司
<報道に関すること>
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤 みどり