2022-11-24 京都大学
梅田達也 医学研究科准教授と伊佐正 同教授、西村幸男 東京都医学総合研究所プロジェクトリーダーの研究グループは、モノをつかもうと手を動かしているときに、大脳皮質からの運動指令信号と周囲の環境から受ける感覚信号が脊髄で統合されて精緻な運動が作り出される様子をはじめて示しました。
本研究成果は、2022年11月21日に、国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」にオンライン掲載されました。
感覚受容器・運動野・筋肉の活動の同時記録の模式図
サルがホームボタンから手を伸ばしてレバーを引く運動をしているときに、皮質脳波(運動野)・感覚受容器・筋肉の活動を同時記録しました。
研究者のコメント
「動いている動物の感覚受容器の活動を多数同時に直接記録するというこれまで誰も成し遂げられなかった方法の開発から、今回の論文の発表まで足掛け12年かかりました。感覚情報は手や足の運動制御に欠かせないとされていますが、感覚受容器の活動の記録が技術的に難しく、実際の運動中に感覚信号がどのように使われているのかあまり理解されていませんでした。感覚信号を伝える脊髄反射による信号処理と大脳皮質による意識的な運動制御を包括的に調べることで、ヒトの運動制御の仕組みの本質に迫れるものと考えています。」(梅田達也)
研究者情報
研究者名:梅田 達也
研究者名:伊佐 正