2024-02-02 名古屋大学
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院医学系研究科ウイルス学の木村宏 (きむら ひろし)教授、佐藤好隆(さとう よしたか)准教授らの研究グループは、血液・腫瘍内科学の清井仁(きよい ひとし)教授、佐合健(さごう けん)大学院生、生体反応病理学の豊國伸哉(とよくに しんや)教授、名古屋市立大学ウイルス学の奥野友介(おくの ゆうすけ)教授、藤田医科大学ウイルス学の村田貴之(むらた たかゆき)教授らとの共同研究で、発がんウイルス Epstein-Barr ウイルスが B 細胞を不死化する際にウイルス因子 BNRF1 が宿主因子 IFI27 を誘導し、安定した細胞増殖能を獲得することを明らかにしました。
Epstein-Barr ウイルス関連リンパ腫は、一般に抗がん剤が効きにくく、予後不良であることが知られており、これらのリンパ腫に有効な治療法の開発が求められています。本発見は、BNRF1 や IFI27 を治療標的とする新たな治療法の開発に繋がると期待されます。
本研究成果は、2024 年 2 月 1 日付(日本時間 2 月 2 日午前 4 時)国際学術誌『PLOSPathogens』に掲載されました。
【ポイント】
・悪性リンパ腫の原因となる EB ウイルス(Epstein-Barr ウイルス)が有する BNRF1 遺伝子は感染細胞の細胞死を抑制し、安定した増殖を可能にする
・BNRF1 が誘導する“安定な細胞増殖”にはミトコンドリアタンパク質 IFI27 が関与する
・BNRF1 や IFI27 が存在しない EB ウイルス感染細胞の腫瘍形成能は著しく低下し、EB ウイルス関連腫瘍の形成には効率的なエネルギー産生が必要である
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【論文情報】
雑誌名:PLOS Pathogens
論文タイトル Epstein-Barr virus lytic gene BNRF1 promotes B-cell lymphomagenesis via IFI27 upregulation
著者名・所属名:Ken Sagou1, 2, Yoshitaka Sato1,*, Yusuke Okuno3, Takahiro Watanabe1, Tomoki Inagaki1, Yashiro Motooka4, Shinya Toyokuni4, Takayuki Murata5, Hitoshi Kiyoi2, Hiroshi Kimura1,*
1Department of Virology, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
2Department of Hematology and Oncology, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
3Department of Virology, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Nagoya, Japan
4Department of Pathology and Biological Responses, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan
5Department of Virology, Fujita Health University School of Medicine, Toyoake, Japan
*Corresponding authors
DOI: 10.1371/journal.ppat.1011954
English ver.
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_E/research/pdf/PLO_240202en.pdf
【研究代表者】
大学院医学系研究科 佐藤 好隆 准教授・木村 宏 教授