2022-08-24 国立成育医療研究センター
国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵2-10-1、理事長:五十嵐隆)のアレルギーセンター大矢幸弘センター長、山本貴和子医長、木口智之医師らは同施設で2003年から一般の小児を対象として行ってきた出生コホート研究(成育コホート)での出生時から13歳までのデータから、日本(東京)の青少年のアレルギー症状の実態と、湿疹の出現時期や持続経過により併存するアレルギー疾患のリスクが異なることを報告しました。この論文は、日本アレルギー学会公式英文国際雑誌Allergology Internationalに掲載されました。
【図:調査参加者、13歳時点での症状】
プレスリリースのポイント
- 調査参加者の13歳時点で、過去1年間に鼻炎症状を認めたのは68.8%でした。喘息症状(喘鳴)があったのは5.8%のみでした。
- 調査参加者は13歳時点で、81.8%が何らかのアレルゲンにIgE抗体陽性(感作) でした。
- 13歳までの間に、35.7%が湿疹(アトピー性皮膚炎)の既往がありました。湿疹が乳児期から持続するタイプは6.8%、乳児期によくなるタイプは23.7%、乳児期以降に湿疹が出るタイプは5.1%でした。
- 湿疹が乳児期から持続するタイプは、喘息症状や鼻炎症状や花粉症やアレルギー感作(IgE抗体陽性)との併存リスクがありました。一方、乳児期以降に発症するタイプは鼻炎症状のみ関連し、その他のアレルギー症状やアレルギー感作とは関連がありませんでした。
- 湿疹が持続するタイプは、スギ感作(IgE抗体陽性)が90.6%で認められ、湿疹がこれまでにないタイプも63.5%がスギ感作を認めました。
発表論文情報
著者:木口智之、山本貴和子、齋藤麻耶子、福家辰樹、大矢幸弘
題名:Eczema phenotypes and IgE component sensitization in adolescents: A population-based birth cohort
所属名:国立成育医療研究センターアレルギーセンター
掲載誌:Allergol Int. 2022 Jun 30:S1323-8930(22)00070-3
URL: https://doi.org/10.1016/j.alit.2022.05.012