ホルマリン漬けから着想した小分子可視化法 ~医薬品開発効率化につながる新たな戦略~

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2022-12-02 京都大学,科学技術振興機構

京都大学 大学院工学研究科の浜地 格 教授、野中 洋 同特定准教授、美野 丈晴 同博士課程学生らの研究グループは、医薬品の多くを占める小分子が実際の動物体内でどのように移動するかを明らかにする新しい方法を開発しました。

新たな医薬品や診断薬を開発するためには、候補となる分子がどのように体の中を移動するかを調べることが重要です。医薬品候補となる分子の多くは小分子という分類に属していますが、これまで小分子が動物体内でどのように移動するかを調べる方法は限られていました。本研究グループは、医学・生理学分野で古くから用いられる「ホルマリン組織固定」の化学的原理に着目し、それを拡張することによってマウス脳内の小分子の分布を可視化することに成功しました。分子の動きを「固定」することで、これまでよりも高い解像度で分布が解析できるようになりました。この成果は、新たな医薬品開発の効率化につながると期待されます。

本研究成果は、2022年12月1日(米国東部時間)に国際学術誌「Chem」に掲載されます。

科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 総括実施型(ERATO)

研究領域
「浜地ニューロ分子技術プロジェクト」(研究総括:浜地 格 京都大学 教授)

文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究

研究領域
「分子夾雑の生命化学」(領域代表者:浜地 格 京都大学 教授)

研究課題名
「分子夾雑下での生命分子の直接修飾/機能解析を実現する有機化学」(研究代表者:浜地 格 京都大学 教授)

文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究

研究領域
「「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究」(領域代表者:津本 浩平 東京大学 教授)

研究課題名
「生命金属動態の理解に向けた金属イオンConditionalプロテオミクス法の開発」(研究代表者:田村 朋則 京都大学 講師)

文部科学省事業 科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Revisiting PFA-mediated tissue fixation chemistry: FixEL enables trapping of small molecules in the brain to visualize their distribution changes”
DOI:10.1016/j.chempr.2022.11.005
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
野中 洋 (ノナカ ヒロシ)
京都大学 大学院工学研究科合成・生物化学専攻・特定准教授

<JST事業に関すること>
加藤 豪(カトウ ゴウ)
科学技術振興機構 研究プロジェクト推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
京都大学 総務部 広報課 国際広報室
科学技術振興機構 広報課

有機化学・薬学
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