2022-12-20 パデュー大学
また、このモデルを開発する過程で、研究者らは、モデルが計算するパラメータで再発を予測すると思われる有望な「モデルベースバイオマーカー」4種類を発見した。この研究成果は、Cell Pressのオープンアクセス誌「iScience」に最近掲載されました。
この共同研究には、イタリアのパヴィア大学のアレッサンドロ・リアーリ、パヴィア大学とテキサス大学オースティン校の筆頭著者ギレルモ・ロレンソ、カスティーリャ・ラ・マンチャ大学のビクター・ペレス=ガルシア、そしてパデュー大学とイタリアのIRCCSサン・ラファエレ病院・科学研究所の研究者達が参加しています。
前立腺の細胞は、健康なものであれ癌であれ、前立腺特異抗原(PSA)と呼ばれるタンパク質を産生する。前立腺癌の腫瘍が成長するにつれ、PSAの値は上昇し、PSA値は前立腺癌の標準的な臨床バイオマーカーとして使用されている。一般的な治療法であるEBRTは前立腺細胞を死滅させるため、治療後数ヶ月でPSA値は低下すると予想されます。しかし、がん細胞が治療を生き延び、繁殖し始めると、PSA値は再び上昇し、最終的には “生化学的再発 “の地点に到達する。
生化学的再発の標準的な閾値は、数カ月間隔でチェックされるPSA値が、PSA nadirと呼ばれる検出された最低レベルよりも1ミリリットルあたり2ナノグラム以上上昇したときに到達します。一次治療としてEBRTを受けた前立腺癌患者の20%から50%が治療終了後5-10年以内に生化学的再発に至り、この時点で医師は生検や画像診断により腫瘍の再発を確認することを選択する。
Gomez氏とそのチームは、システム内の要素を数学的に記述する力学的モデルにより、PSAデータを利用して標準的な手法よりも早く再発を予測することを提案した。このモデルは、PSA値と前立腺癌に関連する一連の経路(損傷細胞の死亡率、放射線によって損傷したが死滅しなかった細胞の割合、生存細胞の増殖率など)の関係を確立する既存の研究および方程式を利用している。
このモデルには7つのパラメータが含まれていますが、ゴメス氏によれば、研究チームはどのパラメータが予測的であるかを事前に知ることはできなかったそうです。研究チームは、前立腺癌患者をEBRT以降まで追跡した医療記録から、PSAデータをモデルに入力し、その予測値と既知の転帰を比較した。この研究では、モデルをレトロスペクティブに使用したが、同じ原則がプロスペクティブな予測に使用する際にも適用される。
このモデルは80%の患者の再発を正しく予測したが、PSA直下血に基づく現在の標準よりも14.8カ月早かった。PSAから推測される4つの追加的なモデルベースのバイオマーカー(腫瘍細胞の増殖率、その増殖率と放射線誘発腫瘍細胞死率の比、PSAの最低推測値、EBRT終了後のPSA直下までの時間)も、PSA直下時の値を上回った。
<関連情報>
- https://www.purdue.edu/newsroom/releases/2022/Q4/improving-prostate-cancer-relapse-forecast-by-14-months.html
- https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(22)01702-3
放射線治療後の前立腺特異抗原動態の患者別予測により、生化学的再発の早期予知が可能 Patient-specific forecasting of postradiotherapy prostate-specific antigen kinetics enables early prediction of biochemical relapse
Guillermo Lorenzo,,Nadia di Muzio,Chiara Lucrezia Deantoni,Cesare Cozzarini,Andrei Fodor,Alberto Briganti,Francesco Montorsi,Víctor M. Pérez-García,Hector Gomez,Alessandro Reali
iScience Published:October 25, 2022
DOI:https://doi.org/10.1016/j.isci.2022.105430
Highlights
•We use personalized forecasts of PSA dynamics to identify biochemical relapse early
•Our forecasts rely on a mechanistic model of prostate cancer response to radiotherapy
•Our model can recapitulate PSA observations and yield accurate short-term predictions
•The model detects relapse up to a median of 14.8 months earlier than current practice
Summary
The detection of prostate cancer recurrence after external beam radiotherapy relies on the measurement of a sustained rise of serum prostate-specific antigen (PSA). However, this biochemical relapse may take years to occur, thereby delaying the delivery of a secondary treatment to patients with recurring tumors. To address this issue, we propose to use patient-specific forecasts of PSA dynamics to predict biochemical relapse earlier. Our forecasts are based on a mechanistic model of prostate cancer response to external beam radiotherapy, which is fit to patient-specific PSA data collected during standard posttreatment monitoring. Our results show a remarkable performance of our model in recapitulating the observed changes in PSA and yielding short-term predictions over approximately 1 year (cohort median root mean squared error of 0.10–0.47 ng/mL and 0.13 to 1.39 ng/mL, respectively). Additionally, we identify 3 model-based biomarkers that enable accurate identification of biochemical relapse (area under the receiver operating characteristic curve > 0.80) significantly earlier than standard practice (p < 0.01).