睡眠にインセンティブを与えるべき? 睡眠不足は仕事や生産性に影響を与える

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2023-01-16 経済産業研究所

概要

睡眠時間は個人の幸福度を高めるだけでなく、仕事の成果や生産性にも影響を与える。睡眠は、会社のスケジュールや締め切り、長時間労働、個人や家庭の事情など、様々な要因によって妨げられている。労働規制や企業戦略は、従業員の睡眠不測による疲労や認知機能に及ぼす短期の影響と、雇用の混乱や生産性低下といった長期の影響を考慮する必要がある。睡眠は、「睡眠にやさしい」雇用規制、ナッジ、金銭的インセンティブ、よりよい睡眠を奨励する補助金によって影響を受ける可能性がある。

主な研究結果

プラス面
  • 睡眠の変化は、仕事中の疲労の要因となる。
  • 睡眠不足は、ヒューマンエラー発生の確率を高める可能性がある。
  • 睡眠時間の削減は、仕事の成果、生産性、労働時間に直接影響する。
  • 睡眠不足は、燃え尽き症候群や不安感などの健康被害をもたらし、さらに二次的な経済的影響をもたらす。
  • 就寝時間のリマインダーや金銭的インセンティブなどの行動介入によって、より「生産的」な睡眠を生み出すことができる。
マイナス面
  • 個々の睡眠レポートは、睡眠時間や睡眠の質の測定方法、特に自己申告の疲労度に誤差がある。
  • タイムダイアリーは睡眠時間の測定精度を高めるかもしれないが、睡眠の質は測定できない。
  • 夜間の気温や家庭内の突発的な出来事(例:子供が起きる)など、睡眠時間は予期せぬ妨害によって影響を受けることがある。
  • 目先の目標を達成するために睡眠の質を犠牲にする場合、睡眠不足によって及ぼされる健康や成果への短期・長期的な影響は考慮されないことが多い。
  • 企業が主催するウェルネスプログラムは、従業員の生産性に影響を及ぼし得る要素としての睡眠を重要視していない。

結論

人は1日に8〜9時間という多くの時間を睡眠に割り当てているにもかかわらず、睡眠時間は経済上のパフォーマンスや幸福度の決定要因として考えられていない。しかし、睡眠が仕事や生産性に及ぼす影響を考えると、労働市場政策において睡眠の役割を考慮する時期が来ている。したがって、政策立案者と企業の双方が、従業員が睡眠に充てる時間を増やすための政策設計とインセンティブの提供を検討する必要がある。

Sleep time trends in the US, 1965-2017

詳しい資料は≫

本稿は、2022年11月にIZA World of Laborにて掲載されたものを、IZAの許可を得て、翻訳、転載したものです。

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