抗体ペアが抗原分子上に反応場をつくり出す~2つの抗体エピトープを 利用したテンプレート反応の開発~創薬基盤技術として期待

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2023-06-23 京都大学

 薬学研究科と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN(ニビオン))では、両機関の連携を通じて創薬科学に貢献する新技術の開拓を進めています。連携研究室であるバイオ医薬品化学分野に所属する秋葉宏樹 薬学研究科助教(兼:NIBIOHN研究員)、大野浩章 同教授、西山健太郎 同博士後期課程学生、鎌田春彦 NIBIOHNプロジェクトリーダーらの研究グループは、「Biepitopic Antigen-Templated chemical Reaction (BATER):2つのエピトープを利用する抗原テンプレート反応」という新しい概念の化学反応を開発しました。

特定の場所だけで化学反応を起こす技術は、医薬品開発研究や生体内での薬物治療法の開発等に利用できるため、様々な反応の開発が進んでいます。研究グループでは、「エピトープ均質化抗体パネル」と呼ばれるNIBIOHNの技術を利用して、特定の蛋白質の複数の異なる部分(エピトープ)を抗原として認識する抗体を複数取得しました。これらの抗体のうち、結合する抗原の場所が近接した抗体を2つ用い、それぞれに互いに反応する官能基を修飾しました。これらの抗体が抗原に結合した際のみに特定の化学反応が進行することを、明らかにしました。本研究成果から、生体内で利用できる反応の開発が進むことが期待されます。

本研究成果は、2023年5月31日に、国際学術誌「Angewandte Chemie International Edition」にオンライン掲載されました。

抗体ペアが抗原分子上に反応場をつくり出す~2つの抗体エピトープを 利用したテンプレート反応の開発~創薬基盤技術として期待
研究者のコメント

「本研究は、京大院薬(薬学研究科)とNIBIOHNの連携によって初めて実現することができました。これまでに進めてきた実用化志向の創薬研究の実から採取したタネが、新しい技術の芽を出しました。花が咲き次の実がなるまで、大切に育てたいと思います。 」(秋葉宏樹)

研究者情報
研究者名:秋葉 宏樹
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1002/anie.202306431
【書誌情報】
Kentaro Nishiyama, Hiroki Akiba, Satoshi Nagata, Kouhei Tsumoto, Haruhiko Kamada, Hiroaki Ohno (2023). A Proximity-Induced Fluorogenic Reaction Triggered by Antibody–Antigen Interactions with Adjacent Epitopes. Angewandte Chemie International Edition.

有機化学・薬学
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