2023-06-27 東京大学
東京大学相談支援研究開発センターの多田真理子講師、東京大学医学部附属病院精神神経科の笠井清登教授らの研究グループは、精神病ハイリスクの方と統合失調症発症早期の患者で、聴覚ガンマオシレーションが低下する一方、自発ガンマオシレーションは変化しないことを明らかにしました。さらに聴覚ガンマオシレーションは、統合失調症発症早期の患者で、幻聴症状の強さと関連していました。
ガンマオシレーションは、神経細胞が発する信号のひとつで、脳の情報処理基盤に関わると考えられており、精神疾患で変化することが知られていました。中でも、音を聞かせた時にみられる聴覚ガンマオシレーションは、統合失調症で低下していることが知られる一方、音刺激と直接関連せず、脳から自然発生したガンマオシレーション(自発ガンマオシレーション)は上昇しているという報告があり、それぞれ異なる病態を示していると考えられていましたが、その関係は十分にわかっていませんでした。特に、発症早期の患者で、聴覚ガンマオシレーションと自発ガンマオシレーションがどのように変化しているのかは知られておらず、病状との関連は不明でした。
この結果は、統合失調症の発症や進行のメカニズム理解に役立つ可能性があり、今後の診断、治療法開発研究への応用が期待されます。
なお、本研究は米国科学誌「Translational Psychiatry」(オンライン版:6月27日)に掲載されました。
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