2023-09-14 東京大学
東京大学医学部附属病院 検査部の佐藤雅哉 講師(消化器内科医)、消化器内科の中塚拓馬 助教、建石良介 准教授、小池和彦 東京大学名誉教授、藤城光弘 教授らの研究グループは、ラジオ波焼灼術(RFA: Radiofrequency ablation)による根治術後の肝癌の予後予測モデルを、Transformerモデルを用いて開発し、Transformerによる予測モデルが従来の深層学習をベースにしたモデルよりも高い精度を示すことを世界で初めて示しました。
RFAは、肝癌に対する有用な根治術として、広く医療現場で採用されています。しかし、肝癌は再発の発生率が高く、予後の悪い肝癌も存在するため、治療の課題は依然として残っています。RFA治療後の肝癌の予後を正確に知ることは、肝癌患者に対する個別のインフォームド・コンセントの実施や、患者にとって最適な治療計画の決定にも重要です。
2017年にGoogle brainの研究チームによって開発されたAIモデルであるTransformerは、ChatGPT (Generative Pre-trained Transformer)のベースにもなっている人工知能(AI: Artificial intelligence)モデルであり、自然言語処理やコンピュータービジョン(CV: Computer vision)の分野において従来の深層学習の技術を凌駕する高い性能が報告されています。Transformerモデルを用いることで、RFA後の肝癌患者の予後をより正確に評価できる可能性があると考えられますが、Transformerモデルを用いて肝癌の予後の推定を行った報告はこれまでありませんでした。
Transformerを用いた機械学習モデルによる予測は、肝癌以外にも医療の様々な分野にも応用が可能であり、他分野への応用も期待されます。本研究成果は2023年9月9日(現地時間)に米国の学術誌「Hepatology International」オンライン版にて発表されました。
※詳細は添付ファイルをご覧下さい。