胃を構成する細胞の空間情報を含めたアトラスの作成~新たな上皮幹細胞マーカーや腸上皮化生に関わる線維芽細胞の同定~

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2023-10-13 東京大学

発表のポイント
◆大規模な胃粘膜のシングルセル RNA-seq、空間遺伝子発現解析を行うことで、胃を構成する細胞の空間情報を含めた遺伝子発現プロファイルを明らかにしました。
◆上皮細胞の新たな幹細胞マーカーとして LEFTY1 を同定し、腸上皮化生に先行して増加する線維芽細胞(PDGFRA・BMP4・WNT5A 陽性)の亜集団を明らかにしました。
◆胃の幹細胞のマーカーや腸上皮化生に関連する線維芽細胞が明らかになったことで、胃粘膜の恒常性や胃がんの発生の原因究明の研究への応用が期待されます。

図 1:胃のシングルセル RNA-seq 及び空間遺伝子発現解析

発表概要
東京大学大学院医学系研究科 衛生学分野の坪坂歩 大学院生、石川俊平 教授らの研究グループは、人体病理学・病理診断学分野の牛久哲男 教授、消化管外科学の瀬戸泰之 教授らのグループとともに、ヒトの胃の 137,610 細胞のシングルセル RNA-seq(注 1)及び 244,445 細胞の空間遺伝子発現解析(注 2)を行いました(図 1)。上皮細胞のシングルセル RNA-seq 解析では、正常な胃粘膜および腸上皮化生(注 3)に共通する上皮細胞の幹細胞(注 4)マーカーとして新たに LEFTY1 を同定しました。線維芽細胞の解析では、腸上皮化生の上皮性変化に先行して、線維芽細胞の亜集団(PDGFRA・BMP4・WNT5A 陽性線維芽細胞)が増加することを明らかにしました。空間遺伝子発現解析では、シングルセル RNA-seq で同定された細胞の組織内局在を明らかにすることにより、腸上皮化生上皮細胞と PDGFRA・BMP4・WNT5A 陽性線維芽細胞が強く相互作用していることを明らかにしました。
今回の結果から、胃上皮のホメオスタシス(注 5)の研究や胃がんの発生の研究に繋がる可能性が期待されます。本研究成果は、米科学誌『Cell Reports』に 2023 年 10 月 10 日に公開されました。発表内容〈研究の背景〉

詳しい資料は≫

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