医療文書のデジタル作成システム 「ダイナミック症例サマリー」 ~実用に向けた検証を進め医療DXを推進~

ad

2023-10-17 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区、理事長:五十嵐 隆、以下「当センター」)と日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山口 明夫 以下「日本IBM」)は、医師の働き方改革を目指し、医師の負担になっている診療情報提供書(紹介状)や退院時要約(入院患者の病歴や、入院中の治療内容などをまとめたもの)などの医療文書を医師が作成する際、膨大な電子カルテシステムの情報から簡単な操作で作成を支援するシステム「ダイナミック症例サマリー」の実用にむけた検証を開始しました。

ダイナミックサマリーのイメージ図

これまで、電子カルテシステムはベンダーごとに仕様が異なっていたため、医療情報の共有や利活用において大きな課題がありました。世界では欧米などを中心に電子カルテシステムの標準化が進む中、日本国内においても同様の動きが本格化しており、標準化によって可能になるソリューションの検討も開始されています。
「ダイナミック症例サマリー」は、最新の電子カルテシステム情報から、診療情報提供書(紹介状)や退院時要約、各種診断書、証明書といったさまざまな医療文書の要素を、HL7? FHIR?[1](以下HL7 FHIR)に対応した「FHIRリソース」ごとに適切な条件で抽出し、動的(ダイナミック)に組み合わせることで、さまざまな医療文書のドラフト作成を支援するシステムです。
診療科や疾患領域による設定や、データの期間を治療前と直近で使い分けるなど、膨大な量の診療データの抽出条件を簡易なナビゲーションで操作することができます。
またデータ入出力形式としてHL7 FHIRを採用することで、特定のベンダーやシステムに依存することなく、HL7 FHIR対応の電子カルテシステムであれば接続できるシステムとなっています。
さらに、HL7 FHIRによるデータ活用により、今後の展望として、生成AIなどを用いたより自然で高品質な医療文書案の作成支援や他医療機関などとの電子的な診療データ連携・臨床研究をはじめとしたデータ利活用の簡易化につながり、さらなる医療DXの推進にも寄与することが期待されます。
当センターでは、「ダイナミック症例サマリー」のプロトタイプシステムから、課題や改善すべき事項を抽出し、解決に向けた検証を行い、今後はより精度を高めることで実用化レベルを引き上げます。また、病歴をはじめとした要配慮個人情報を取り扱うことを念頭においた生成AI活用の可能性や、安全かつより効果的な運用方法、電子的な診療情報提供などについて検討もいたします。
[1] 「HL7®およびFHIR®は、Health Level Seven Internationalの米国およびその他の国における登録商標です。

※本技術開発には、当センターが2018年10月11日から参画した戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」、および研究開発と Society 5.0 との橋渡しプログラム(BRIDGE)「AI ホスピタルを実装化するための医療 AI プラットフォームの構築に必要な技術に関する研究開発」の研究開発資金を一部充当し、開発を推進しています。

本件プレスリリースのPDFダウンロード

本件に関する取材連絡先
国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
ad

医療・健康
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました