糖鎖の変化がもたらす免疫機能の調節~糖鎖の欠損が示すがん免疫療法の新しい道~

ad

2023-10-19 京都大学

魏恒 医学研究科技術補佐員、成瀬智恵 同准教授、浅野雅秀 同教授、高倉大輔 横浜市立大学特任准教授、川崎ナナ 同教授らの共同研究グループは、β1,4-ガラクトース転移酵素-3(B4GALT3) の欠損マウスが高免疫原性腫瘍の増殖を抑制することを発見しました。この発見は、がん免疫療法に応用できることが期待されます。

B4GALT3は、多くの腫瘍においてその周辺の正常組織より高い発現を示し、神経芽腫、子宮頸がん、膀胱がんなどのがんの臨床予後と関連しています。しかし、がん微小環境(TIME)でのB4GALT3の具体的な役割はまだ不明でした。本研究で、Crispr/Cas9システムにより作製したB4GALT3ノックアウト(KO)マウスを用いて実験を行った結果、B4GALT3 KOマウスでは、免疫原性の強い腫瘍細胞の増殖が抑制され、腫瘍に浸潤するCD8+T細胞の数が有意に増加することがわかりました。

さらに、B4GALT3の欠損は、CD8+T細胞表面のインテグリンαLのN型糖鎖修飾を変化させることが示されました。この研究は、免疫細胞の表面タンパク質の糖鎖修飾を操作することにより、がん免疫療法の新たなアプローチとしての可能性を示しています。

本研究成果は、2023年10月9日に、国際学術誌「Frontiers in Immunology」にオンライン掲載されました。

糖鎖の変化がもたらす免疫機能の調節~糖鎖の欠損が示すがん免疫療法の新しい道~

研究者のコメント

「この研究を通じて、糖鎖の役割とがん微小環境におけるその影響についての新しい知見を得ることができまし た。糖鎖の重要性とがん治療への新しいアプローチの可能性が明らかになりました。糖鎖の研究は、未来の医療において新しい突破口を開くことが期待されます。」

詳しい研究内容について

糖鎖の変化がもたらす免疫機能の調節-糖鎖の欠損が示すがん免疫療法の新しい道糖鎖の変化がもたらす免疫機能の調節 ―糖鎖の欠損が示すがん免疫療法の新しい道―

研究者情報

研究者名:成瀬 智恵
研究者名:浅野 雅秀

医療・健康
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました