KUS121は新規の心不全治療薬となる~Ca2+負荷なしに血行動態を改善~

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2023-12-15 京都大学

KUS121は細胞内ATPを維持して様々の疾患に良い作用を及ぼすことが知られています。今回、尾野亘 医学研究科教授、垣塚彰 生命科学研究科教授、辻修平 医学研究科客員研究員、大谷千春 同博士課程学生らの研究グループは、このKUS121が新規の心不全治療薬となることを明らかにしました。

本研究では、心不全モデルマウスにおいて低下した心臓のエネルギーがKUS121により増加し、収縮能を改善させることがわかりました。また、イヌの高頻度ペーシングによる心不全モデルにおいて、KUS121により収縮能および拡張能が改善しました。さらに、単離マウス心筋細胞において、KUS121負荷により心筋細胞の収縮能が上昇する一方で、強心薬で生じるCa2+負荷がKUS121で生じないことが分かりました。

本研究成果により、KUS121が心肥大や線維化を起こさない急性心不全治療薬として使用できる可能性があること、慢性心不全患者で心不全の進行を抑制できる可能性があること、またKUS121の投与により、末期の慢性心不全患者がカテコラミン依存から脱却できる可能性が示唆されました。さらに臨床応用に向けて研究を展開していく予定です。

本研究成果は、2023年12月12日に、国際学術誌「Biomedicine & Pharmacotherapy」にオンライン掲載されました。

文章を入れてくださいKUS121は細胞内のVCP蛋白によるATPの消費を抑えて細胞内ATPを増加させる。これが直接ミオシンATPaseやSERCA2aを活性化させて収縮能および拡張能を改善させる。これは従来のβ受容体の活性化から細胞内Ca2+濃度が上昇する経路と全く異なるために、心肥大や線維化を起こさない。

研究者のコメント

「心不全パンデミックといわれているように、今後心不全患者数は非常に増えていきます。新規の心不全治療薬を少しでも早く臨床の現場に届けられるように努力していきます。」

詳しい研究内容について

KUS121は新規の心不全治療薬となる―Ca2+負荷なしに血行動態を改善―

研究者情報

研究者名:尾野 亘
研究者名:垣塚 彰
研究者名:辻 修平

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有機化学・薬学
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