悪玉因子、活性酸素が記憶形成に必要であることを解明~抗酸化物質の過剰摂取に警鐘~

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2024-03-06 京都大学

活性酸素は老化や生活習慣病の原因物質として知られる一方で、生体内でも酵素の働きにより積極的に産生されており、生理的な役割も担うと推測されています。脳でも活性酸素を作る酵素の存在が示されていましたが、記憶などの脳機能への関与は不明でした。

柿澤昌 薬学研究科准教授、遠藤昌吾 東京都健康長寿医療センター研究部長、石神昭人 同副所長、赤池孝章 東北大学教授らの研究グループは、身体にとって悪玉とされる「活性酸素」が記憶の形成に必要不可欠であることを発見しました。また、抗酸化物質として運動選手や一般大衆に用いられるビタミンEで活性酸素を除去すると運動記憶が阻害されることも示しました。今回明らかになった活性酸素による脳機能の制御系はヒトを含む高等生物に広く保存されており、記憶の新しい機構として神経科学に役立つとともに、適切な抗酸化物質摂取方法等を通して、国民の健康長寿やQOLの維持に役立つと期待されます。

本研究成果は、2024年2月1日に、国際学術誌「Redox Biology」にオンライン掲載されました。

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本研究のイメージ図:活性酸素の機能的役割のパラダイムシフト

研究者のコメント

「本研究を通じて、素晴らしい共同研究者の方々と一緒に研究を進めることができ、とても貴重な経験になりました。活性酸素のイメージングに取り組んだことで、シナプス可塑性が起こる時に神経細胞内で活性酸素が作られる様子を、恐らく世界で初めて観ることができたのですが、その瞬間のワクワク感は忘れられません。」(柿澤昌)

「20年来小脳長期記憶を支える分子機構を探していました。ほぼ諦めていたのですが、達人達の協力で退職前に分子機構を見つけられて、うれしく思います。身体リハビリなどを通じてこの研究が社会に役立ってほしいです。また、この研究遂行を励まし続けてくれた故 伊藤正男先生に感謝したいです。」(遠藤昌吾)

「いつも悪者に扱われる活性酸素が記憶の新しい機構として神経科学に役立つことを明らかにできました。活性酸素を制御することにより、老化制御や健康長寿に貢献できると考えています。」(石神昭人)

「私共が、2007年にNOと活性酸素の2次シグナル分子として8-ニトロ-サイクリックGMPを発見して十数年が経ちました。本シグナル分子による小脳記憶形成機構の解明は、レドックスシグナル研究に革新的な展開をもたらすものです。この様な魅力的な研究に貢献できたことを誇りに思っています。」(赤池孝章)

詳しい研究内容について

悪玉因子、活性酸素が記憶形成に必要であることを解明 ―抗酸化物質の過剰摂取に警鐘―

研究者情報

研究者名:柿澤 昌

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