2024-09-17 医薬基盤・健康・栄養研究所
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:中村祐輔)生体機能分子制御プロジェクト・サブプロジェクトリーダーの飯島則文らは、国立病院機構北海道医療センターや国立大学法人東京大学医科学研究所と共同で、ミネラルオイルに含まれるトリデシルシクロヘキサンが実験動物の自己免疫疾患誘導に大きく影響することを発見しました。
自己免疫疾患は、何らかの理由で免疫担当細胞が自己の細胞・組織に反応し、細胞死や組織損傷を引き起こす疾患の総称です。ヒトの生活習慣に基づいたさまざまな誘因が挙げられていますが、自己免疫疾患の原因は依然として不明です。一方で、自己の抗原と結核菌死菌を不完全フロイントアジュバント(Incomplete Freund’s adjuvant: IFA)と組み合わせて実験動物に接種することで、自己免疫疾患の様な病態を実験動物で誘導することが可能です。
(成果のポイント)
◆ 実験動物に自己抗原+結核菌死菌+IFAを接種して誘導する自己免疫疾患モデルにおいて、自己抗原+結核菌死菌を実験動物に接種しただけでは、自己免疫疾患が発症しないことを確かめました。
◆ IFAの成分であるミネラルオイルを自己抗原と結核菌死菌と共に接種した場合に、自己免疫疾患 (少なくとも自己免疫性脳脊髄炎やコラーゲン誘導性関節炎) が誘導されることを発見しました。
◆ ミネラルオイルに含まれるトリデシルシクロヘキサンを、自己抗原と結核菌死菌と共に実験動物に接種した場合に、最も強く自己免疫疾患が誘導されることを発見しました。
今後トリデシルシクロヘキサンを用いて自己免疫疾患誘導のメカニズムを解明することで、自己免疫疾患に対する新たな治療薬の開発に繋がることが期待されます。
本研究成果は2024年7月18日に『European Journal of Immunology』にオンライン掲載されました。
ウェブサイト: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/eji.202350957
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