2020-05-29 京都大学
木村智洋 生存圏研究所博士課程学生、渡辺隆司 同教授は、藤田尚志 ウイルス・再生医科学研究所教授らと共同で、化学反応によりサトウキビの搾りかす(バガス)から抗ウイルス物質を生産することに、はじめて成功しました。
地球温暖化および人やモノの移動のグローバル化により、病原性ウイルスの蔓延が非常に深刻化しています。本研究は、植物細胞壁を構成する非可食バイオマス(リグノセルロース)から脳心筋炎ウイルス (EMCV) の増殖を抑制する抗ウイルス物質を生産する化学反応を発見しました。世界中に大量に存在する非可食バイオマスを人為的に抗ウイルス物質に変換する方法を見出したことで、近年深刻化している病原性ウイルス蔓延の防御と、再生可能な唯一の炭素資源であるバイオマスの体系的な利活用(バイオリファイナリー)の実現に貢献すると期待されます。
本研究成果は、2020年4月15日に、国際学術誌「ChemSusChem」のオンライン版に掲載されました。
図:サトウキビの搾りかすをマイクロ波反応で分解し、ウイルスと直接作用して増殖を抑制する物質を生産