2020-07-07 京都大学
浅岡由衣 理学研究科修士課程学生、後藤幸織 霊長類研究所准教授、元武俊 特定医療法人共和会共和病院医師らの研究グループは、行動依存症の患者はリスクを取る傾向があり、それが脳の前頭前皮質の活動減弱と関連していることを明らかにしました。
行動依存症は、ギャンブル依存に加え、近年では、インターネットやゲームに対する依存など、社会的な注目を集めています。また、万引きなどの窃盗症、盗撮や痴漢などの性嗜好障害といった、犯罪と知りつつも繰り返し衝動的に行ってしまう行動も、依存症であると考えられていますが、その全貌はわかっていません。
本研究では、窃盗症と性嗜好障害の入院患者と健康な成人男女を対象に、確率計算を伴う心理課題を行い、光トポグラフィーという手法によって課題実行中の脳活動を計測しました。その結果、行動依存症の患者は確率から物事を推測することに困難を示し、その原因として、前頭前皮質の脳活動減弱が関わっていることがわかりました。これらの結果から、行動依存症では、前頭前皮質が正常に活動しない結果、依存行動時の社会的リスクを認識できていないことが一因であることが考えられます。
本研究成果は、2020年6月25日に、国際学術誌「International Journal of Neuropsychopharmacology」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究のイメージ図
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書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1093/ijnp/pyaa044
【KURENAIアクセスUR】 http://hdl.handle.net/2433/252438
Yui Asaoka, Moojun Won, Tomonari Morita, Emi Ishikawa, Yukiori Goto (2020). Higher Risk Taking and Impaired Probability Judgment in Behavioral Addiction. International Journal of Neuropsychopharmacology, pyaa044.