新型コロナウイルスによる受診控えで患者の病状が悪化するケースも

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適切なタイミングで、必要な医療の提供が重要

2020-12-08 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の臓器移植センターと高度感染症診断部、感染症科による合同研究グループは、新型コロナウイルスの流行下であっても、感染症対策を徹底し、継続している生体肝移植の安全性について研究しました。
まず、新型コロナウイルスが流行する前の2019年と、流行後の2020年の生体肝移植数を比べたところ、2020年の6月と7月は、2019年の半分以下にまで減少していることが分かり、減少傾向は8月まで続きました。さらに、新型コロナウイルスのため生体肝移植手術を控えた患者(小児)の末期肝疾患(Pediatric End-stage Liver Disease: PELD※)スコアが非常に高くなっているなど、病状が重篤化していることも分かりました。重篤な患者に生体肝移植を行うことは技術的にも難しく、新型コロナウイルスの流行があっても、医療機関は必要な医療を、適切なタイミングで提供できる環境を整備し、患者が安心して医療を受けられることが重要です。当センターでは、移植前にドナーやレシピエントの新型コロナウイルススクリーニングを行い、感染予防策を徹底することで、生体肝移植手術を継続することに成功し、9月以降は例年通りの手術数となっています。
この研究結果は、国際学術誌Transplantationに掲載されています。

※PELD:12歳未満の子どもに対する疾患の重症度を測るものです。国際標準比に対する患者の年齢や成長不全の度合いなど複数の項目から計算されます。

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今後の展望

  • 新型コロナウイルスのため移植を控えた患者の末期肝疾患(Pediatric End-stage Liver Disease: PELD)スコアが非常に高くなっている、すなわち移植前の病状が従来よりも重篤になっていることが、初めてわかりました。より重篤な病状の患者に移植を行うことは、技術的にも容易でなく、移植後の合併症や拒絶反応のリスクが高くなる可能性もあります。
  • 今回の研究成果から、これまでのところ、生体肝移植のドナー・レシピエントとも新型コロナウイルス感染症を罹患せず、適切な感染対策を講じることで、従来通りに安全な生体肝移植を実施できることがわかりました。
  • 小児生体肝移植プログラムを安全に継続し、肝移植が必要な患者の受診を遅らせないことが重要です。
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