胎児治療を行った先天性横隔膜ヘルニアの胎児の生存率が向上

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国際ランダム化比較試験で「胎児鏡下気管閉塞術」の有効性が証明されました

2021-06-11 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)周産期・母性診療センターの左合治彦センター長が参加している国際的な研究チーム(代表:ベルギー ルーベン大学Jan Deprest教授)は、先天性横隔膜ヘルニア※1に対する胎児鏡下気管閉塞術※2の有効性を評価する研究を行いました。その結果、国際ランダム化比較試験※3(TOTAL trial)において、胎児鏡下気管閉塞術が先天性横隔膜ヘルニアの胎児の生存率を有意に改善させることを証明しました。
先天性横隔膜ヘルニアは、先天的な横隔膜の欠損により腹腔臓器(胃、小腸、大腸、肝臓など)が胸腔(心臓や肺などがある空間)に入ってくるため、肺の正常な発育が妨げられ、重症例では死亡率も高い疾患です。この研究成果により、今後は先天性横隔膜ヘルニアに対して胎児治療が有効な治療法として用いられることが期待されます。
本研究論文は、世界5大学術誌の1つ「The New England Journal of Medicine」に掲載されました。

※1:先天性横隔膜ヘルニア
先天的な横隔膜の欠損により腹腔臓器(胃、小腸、大腸、肝臓など)が胸腔(心臓や肺などがある空間)に入ってくるため、肺の発育が妨げられる疾患です。出生児の約4000人に1人の割合で発生し、その約85%は左側の欠損です。欠損の部位や大きさによってほとんど症状や障害が見られない場合もありますが、重症例では出生直後から肺高血圧や呼吸不全等の重大な症状をきたし、死亡率も高い疾患です。出生後に横隔膜の欠損部位を修復する根治手術が必要です。
※2:胎児鏡下気管閉塞術(Fetal Endoscopic Tracheal Occlusion:FETO)
内視鏡の一種である「胎児鏡」を用いて行う胎児治療です。母体の腹部から子宮内へ胎児鏡を挿入、そこから胎児の気管に入り小さなバルーンを置いておくことで、胎児の気管を一定期間だけ閉塞させます。すると肺胞液が外に出ないため肺にたまり、肺が拡張して成長が促され、出生後の呼吸状態が改善することにつながります。
※3:ランダム化比較試験
研究の対象を無作為に2つグループ分け(ランダム化)、治療法の効果などを評価する研究手法です。エビデンスレベルは、コホート研究よりも上に位置付けられています。

プレスリリースのポイント

  • 生後の治療では死亡率の高い重症の先天性横隔膜ヘルニアに対して、胎児に治療を行う胎児鏡下気管閉塞術は、出生後の生存率を優位に改善させることが証明されました。
  • 重症の先天性横隔膜ヘルニアの胎児に対して、今後は胎児鏡下気管閉塞術が有効な治療法として用いられることが期待されます。
  • 将来的な保険導入を目指すために、先進医療などで本治療を行うことが望まれます。
  • 本研究にはアジアから当センターのみが参加し、研究成果も世界で始めて胎児鏡下気管閉塞術の有効性を示したものとして大変貴重です。

発表論文

【論文タイトル】:Randomized Trial of Fetal Surgery for Severe Left Diaphragmatic Hernia.
【研究者】:J.A. Deprest, K.H. Nicolaides, A. Benachi, E. Gratacos, G. Ryan, N. Persico,H. Sago, A. Johnson,

M. Wielgos, C. Berg, B. Van Calster and F. M. Russo,

for the TOTAL Trial for Severe Hypoplasia Investigators.
【掲載誌】:New England Journal of Medicine
【2021年6月8日 DOI】:10.1056/NEJMoa2027030
【原著論文】:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027030

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