JICA初!遠隔技術を駆使し、途上国の新型コロナ感染症治療を世界各地でサポート

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2021-08-25 国際協力機構

新型コロナウイルス感染症が拡大・長期化するなか、各国で集中治療室(ICU)を必要とする重篤患者が増えています。その一方で、途上国では、ICUの医療者の専門知識や技術、そして隔離病床の施設や設備の不足により、治療体制が追い付かない状況です。

そこでJICAは2020年12月から、途上国のICU治療をサポートするため、遠隔技術を駆使した医療支援について本格的な検討を開始しました。日本の集中治療専門の医師や看護師と途上国の各病院のICU医療者を日本独自の通信システムで結び、技術的な助言や研修をすべて遠隔で行うというJICA初の取り組みです。人の往来が難しいなかでも、デジタル技術を活用して途上国の新型コロナウイルス感染症の治療体制を向上させるため挑戦しています。

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遠隔で研修を受ける医師(インドネシア)

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遠隔サポートの仕組み

バングラデシュなどで試験的に遠隔サポートを開始。新型コロナウイルス感染症患者への治療体制が向上

まずは試験的に、バングラデシュの首都ダッカにあるイーストウエスト医科大学病院などを対象に、日本独自の遠隔ICU通信システムの導入やオンライン研修、そして知見を共有するために医師らに向けた準備会合などが始まっています。

遠隔でICUでの患者のケアについて研修を受けるバングラデシュの看護師ら

研修に参加した同病院のシニア・メディカル・オフィサーのシブ・ションカー・ゴシュワミ医師は、「重篤患者の症例を取り上げたICUカンファレンスでは、日本の医師との議論により、救命救急診療に関する知識や、日本での治療手順やガイドラインも習得できました」と述べ、今後の継続したサポートを強く望んでいます。また、ICUで患者のケアにあたるモハンマド・バラエット・ホッセン看護師長は、「オンラインによる直接指導などにより、新型コロナウイルス感染症患者に対する看護知識だけでなく、ICUでの看護全般の質の向上にもつながっています」と言います。現場の医療者たちが専門知識と技術を身につけ、治療体制が着実に底上げされています。

遠隔でICU医療をサポートする医師らと連携し、全世界で同時に支援を実施

この遠隔ICUサービスは、遠隔での集中治療サポートを手がける(株)T-ICU(神戸市)に委託して実施しています。

T-ICUの津久田純平医師

T-ICUに所属する津久田純平医師は、途上国での遠隔ICUサポートについて、「医療水準や患者背景、言語の違いによるやり取りへの不安はありますが、どの国の医療者も、患者さんの症状改善に向けた思いに違いはありません。エビデンスに基づく治療に加えて、病態生理や経験に沿った集中治療の方法を助言することで、症状の改善にとどまらず、医療の質やコストの改善にもつながることを期待します」と言います。

JICAはT-ICUと共に、これまで世界15か国で遠隔ICU通信システムが途上国でどのように活用できるかを調査してきました。その結果に基づいて、今後は、インドネシア、トンガ、パラオ、ケニア、セネガル、エルサルバドル、ボリビア、グアテマラ、メキシコと世界各地に支援を拡大(※文末参照)していきます。

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トンガ(写真上)とパラオ(写真下)では、7月に遠隔ICU通信システムを活用した医療支援に関する署名式が行われました

これまで培った保健医療分野での協力をもとに、最新技術を活用して、途上国の医療体制の向上を図る

新型コロナウイルス感染症の拡大は、まだまだ終わりがみえません。この未曽有の感染症流行下で、JICAは昨年、途上国の保健医療システムの強化に向け、「JICA世界保健イニシアティブ」を立ち上げました。移動や接触が出来ない物理的な制約下での効果的な協力に向けた工夫が必要とされるなか、ウィズコロナ時代に向け、この遠隔ICUの活用を含め、デジタル技術を駆使した遠隔を基本とする協力のあり方を模索しています。

STI・DX(科学技術イノベーション・デジタルトランスフォーメーション)室の斉藤幹也室長は、「これからの社会課題の解決にはデジタルトランスフォーメーション(DX)推進が不可欠です。保健医療分野での遠隔ICU支援のほか、開発のさまざまな分野でDXの取り組みに挑戦していきます」と今後を見据えます。

【遠隔ICUシステムを活用した医療支援に関する詳細はこちら】

案件名:新型コロナウイルス感染症流行下における遠隔技術を活用した集中治療能力強化プロジェクト

対象国名:インドネシア、トンガ、パラオ、セネガル、エルサルバドル、グアテマラ、メキシコ、ボリビア等(実施確定分)

※ケニア(モンバサ郡コースト・ジェネラル病院)は、技術協力「アフリカ保健システム強化パートナーシッププロジェクトフェーズ2」にて実施中

実施予定期間:12~15ヵ月

実施機関:各国監督省庁(主に保健省)

対象地域:

1)インドネシア 西ジャワ州インドネシア大学病院、南スラウェシ州ハサヌディン大学病院

2)トンガ ヌクアロファ市バイオラ病院

3)パラオ コロール州ベラウ国立病院

4)セネガル ダカール州ダラルジャム病院

5)エルサルバドル サンサルバドル市エルサルバドル病院

6)グアテマラ グアテマラ市サンビセンテ病院

7)メキシコ ユカタン州オーラン総合病院、バジャドリド病院

8)ボリビア サンタクルス県サンタクルス日本病院

具体的な事業内容:

1)施設、機材等:集中治療を対象とした遠隔医療通信システム及び臨時用ICU医療施設(コンテナまたはプレハブ)・設備、医療機材

2)コンサルティング・サービス/ソフトコンポーネント:日本の集中治療専門医・看護師による、遠隔での集中治療に係る研修及び技術的助言

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