「1+1=2」じゃない共生の世界~2種の菌が植物にもたらす相乗効果と相殺効果~

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2021-09-17 京都大学

堀淑恵 生態学研究センター修士課程学生(研究当時)、藤田博昭 同博士課程学生、東樹宏和 同准教授らの研究グループは、複数種の微生物と植物が共生することによって、1種の微生物のみが共生するときに比べて、植物の成長に複雑な反応が現れることを、膨大な実験データとともに明らかにしました。

近年、DNA分析技術の発展とともに、従来考えられてきたよりもはるかに多様な種の微生物が土壌中に存在し、植物の根を取り巻いたり、植物の根の中に入り込んだりしていることが明らかになってきました。そうした微生物たちは、その1種1種が植物に対して成長を促進する効果を持っていたり、病原菌や乾燥・高温ストレスから植物を守る効果を持っていたりします。しかし、複数の微生物が植物と共生する場合に何が起こるのかについては、知見が非常に限られていました。
本研究では、植物の根から単離された13種類の真菌(きのこ・かび類)のそれぞれについて、1種だけ植物に接種した場合と、2種を組み合わせて接種した場合(78通り)で、植物の成長がどのように変わるか、包括的に評価しました。その結果、1種だけの場合に植物の成長を大きく促進する菌を2種組み合わせた場合に元々の効果が相殺されてしまう一方、1種だけだとあまり植物にプラスの効果をもたらさない菌を2種組み合わせた場合に、植物の成長が大きく促進される場合があることを発見しました。

この成果は、「エースストライカーだけを集めたサッカーチームが必ずしも強いわけではない」ことを自然界の地下共生系において実証したもので、生物種どうしの組み合わせによって大きく変化する生物機能について、重要な視点を与えるものです。今後、植物に共生する微生物の組み合わせをうまく活かした持続可能型の農林業を設計していく上で、新たな科学的アプローチを提案につながると期待されます。

本研究成果は、2021年9月13日に、国際学術誌「Frontiers in Microbiology」に掲載されました。


図:植物の根と共生する真菌類の菌糸

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:東樹宏和

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